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クエリ検索: "眼球運動障害"
3,816件中 1-20の結果を表示しています
  • 山下 力, 前田 史篤
    神経眼科
    2025年 42 巻 1 号 80-85
    発行日: 2025/03/25
    公開日: 2025/03/25
    ジャーナル 認証あり

     後天

    眼球運動障害
    (acquired ocular movement disorder: AOMD)は,複視や麻痺性斜視を引き起こし,日常生活に大きな影響を与える.視能訓練は,麻痺筋の機能回復と拮抗筋の痙縮解除を目的に,主に核下性障害による麻痺性斜視や眼窩吹き抜け骨折を対象に実施される.訓練の適応には,詳細な病態分析と視能評価が必要であり,特に早期の訓練開始が重要である.視能訓練の目的は,融像野の拡大により両眼視機能を改善し日常生活の不自由を軽減することで,衝動性眼球運動訓練とfusion lock trainingが行われる.視能訓練の適応症例に対する早期実施は,高い訓練効果と社会復帰を可能にし,患者の生活の質向上に大きく寄与する.

  • 星原 徳子, 岡 真由美, 河原 正明
    日本視能訓練士協会誌
    2016年 45 巻 229-235
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/02/28
    ジャーナル フリー

    【目的】麻痺性斜視における融像の異常な状態(融像状態)別の視能訓練成績を分析し、家庭訓練を中心とした視能訓練方法を検討した。

    【対象および方法】対象は、視能訓練を施行した麻痺性斜視58例で、年齢は30~87歳であった。融像状態は、潜伏融像、部分融像、狭い融像野に分類した。視能訓練は、衝動性眼球運動訓練、輻湊訓練、fusion lock training、プリズム療法を行った。治癒度は4段階とし、治癒度Ⅰは融像野が30°以上とした。

    【結果】融像状態は、潜伏融像27例、部分融像27例、狭い融像野14例であった。治癒度Ⅰの獲得が高率であったのは部分融像21例(78%)と狭い融像野11例(79%)であった。潜伏融像は治癒度Ⅰの獲得が低率であった。治癒度Ⅰを獲得できた狭い融像野では、プリズム療法が高率であった。全ての融像野で衝動性眼球運動訓練の実施率が高く、狭い融像野と部分融像においては衝動性眼球運動訓練とfusion lock trainingの組み合わせが多かった。

    【結論】家庭訓練は、融像野が存在する場合にはプリズム装用下で衝動性眼球運動訓練とfusion lock trainingを組み合わせ、潜伏融像では衝動性眼球運動訓練が有用であった。

  • 5.上斜筋麻痺の発症原因による治癒過程
    新井 紀子, 深井 小久子, 木村 久
    日本視能訓練士協会誌
    2000年 28 巻 205-210
    発行日: 2000/08/25
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    良好な治癒を得た後天性片眼性上斜筋麻痺10例について、より有効な視能訓練を行なうために、発症原因別に非外傷群(A群)と頭部外傷群(B群)に分類し、両者の治癒過程を比較検討した。対象は、全例が発症より6か月未満に視能訓練を開始し、その発症原因がA群は脳血管性または炎症性による非外傷性の5例と、B群は脳損傷のない軽度の頭部外傷によるもの5例である。これらに対し、斜視角、融像域の獲得過程と視能訓練方法について検討した。
    その結果、訓練平均日数は、A群51日、B群59日であった。斜視角の減少率は、訓練10日目にA群64%、B群23%で、90%以上の改善はA群が訓練40日目、B群が60日目であった。A群は、早期に斜視角の減少を認めた。次に融像の獲得過程をみると、第1眼位の融像は、A群が訓練17日目、B群が訓練28日目に獲得した。30°以上の融像域の獲得に、A群が40日、B群が50日とB群は長い訓練日数を要した。視能訓練は、両群とも融像訓練を主体に行ない、訓練期間をIII期に分類した。訓練I期は、A群は輻湊訓練と融像安定化訓練を行い、平均17日間で斜視角の減少と第1眼位の融像が獲得できた。一方、B群は斜視角の減少の遅延を認め、衝動性眼球運動訓練を併用し、獲得までに平均28日を要した。第1眼位の融像を獲得すると、A・B群は同様の経過で融像域の獲得が可能であった。II・III期は、各群とも約20日間のFusion lock trainingにより、安定した良好な融像域が獲得できた。
    治癒過程より、B群は軽度の外傷であるが、A群と比較して障害の程度が高いことが示唆され、視能訓練による早期の融像安定化が重要となる。視能訓練方法は、発症機序に沿った検討が必要と思われる。
  • 甲状腺眼症の眼球運動障害
    新井 紀子
    日本視能訓練士協会誌
    1995年 23 巻 61-68
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    甲状腺眼症による
    眼球運動障害
    は,外眼筋の障害が複数筋に及び,外眼筋麻痺による
    眼球運動障害
    と比較して多彩な症状を伴う。本症の
    眼球運動障害
    の治療は,薬物療法,放射線療法,手術療法があるが,眼位矯正に終わり複視の残存による日常生活の支障や症状の再発に対する不安感がある。後天性
    眼球運動障害
    は中枢性の融像障害がないので,早期に理にかなった視能矯正を行うことを深井は強調している。本編では甲状腺眼症による
    眼球運動障害
    30例に積極的な視能矯正を行った。その結果,90%に融像域が獲得でき,
    眼球運動障害
    も改善を示した。更に家庭訓練の自己管理指導により,再発の不安を緩和できた。甲状腺眼症の
    眼球運動障害
    例に視能矯正は有効であることが判明した。
    このような
    眼球運動障害
    や複視という重い視覚障害に,積極的に対峙し,患者を支える事は視能訓練士の使命であると考える。
  • 矢澤 省吾, 大井 長和
    神経眼科
    2018年 35 巻 3 号 266-269
    発行日: 2018/09/25
    公開日: 2018/10/11
    ジャーナル 認証あり
    神経内科の日常診療の中で,眼球運動異常患者を診察する場合の手順をまとめた.まずは患者を診る前に問診により発症型式を定め,背景疾患を想定する.それらを踏まえて
    眼球運動障害
    の所見を固視,随意性眼球運動,反射性眼球運動の状態で観察し,随伴する他の脳神経障害,全身所見も加味し,責任病巣(外眼筋,内眼筋,脳神経,脳幹,小脳,基底核,大脳)を推測する.病歴から得られた情報よりその背景疾患の性質(血管障害,炎症性,腫瘍性など)を考察し,各種検査(画像,血液,遺伝子,脊髄液)へつなげる.
  • 片眼性上斜筋麻痺例の感覚・運動機能と日常生活の不自由度について
    岡 真由美
    日本視能訓練士協会誌
    2004年 33 巻 49-57
    発行日: 2004/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    後天性
    眼球運動障害
    に対する視能矯正の目的は日常生活を可能にすることである。本研究では、後天性片眼性上斜筋麻痺を対象に、1.感覚・運動機能と日常生活の不自由度の関連、2.衝動性眼球運動(Saccadic Eye Movement)最大運動速度(以下:SEM最大速度)の特性から日常生活での視覚の質の評価を行った。
    感覚・運動機能は、融像域とHess chartで評価し、不自由度はアンケート調査を行った。視能矯正により治癒度I(excellent)となった症例のうち、不自由度が改善した症例は86%であった。感覚・運動機能に対する不自由度は必ずしも一致せず、個々の職業や生活スタイルが関与していた。また、視能矯正により不自由度の改善が高率であった日常生活活動は「読書」であり、「車の運転」と「階段の昇降」で不自由度が残存した。
    SEM最大速度は、正面、上方および下方で測定した。健常人の平均SEM最大速度は、内転311~317°/sec、外転294~299°/secで、正面、上方および下方での変化はみられなかった。ASOPでは、正面に比べ下方で麻痺眼内転の速度低下が大きい傾向がみられた。また、下方でのSEM最大速度の低下が大きいほど上斜筋不全の程度が強く、「車の運転」の不自由度が高い傾向がみられた。
    SEM最大速度は、日常生活での視覚活動と関連が大きかった。自立できる日常生活のための視能矯正には、不自由度を把握したうえで視覚の質を評価することが重要であり、融像域に加えSEM最大速度はその指標として有用と考えた。
  • 中村 志保, 郡司 朋子, 木村 愛美, 西村 麻衣, 菊川 千波, 菊地 紗和子, 村上 純子, 上田 渚, 石倉 智子, 鶴川 香緒利, 横須賀 美紀, 奥森 留美子, 神前 あい, 井上 吐州
    日本視機能看護学会誌
    2018年 3 巻 8-10
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:甲状腺眼症の斜視手術後患者に対するリハビリテーション( 以下リハビリ) として、効果的で簡易な方法を検討し、 病棟オリジナルの視野チャートを作成した。看護師の指導にて実施したので報告する。 方法:甲状腺眼症による複視のため斜視手術を行った15 名を対象に、視能訓練士の助言を得て作成した視野チャート にて、入院時・手術翌日・退院時に両眼単一視野(以下単一視野)の変化を比較した。またこれを用いた術後のリハビ リ方法を指導し、退院時にアンケートを実施し有用性を評価した。 結果:対象患者全員が、視野チャートを用いたリハビリが分かりやすく、積極的に取り組めたと回答した。入院時と退 院時の単一視野の比較では、14 名が拡大し1 名は明らかな変化がなかった。 考察:視野チャートにより注視目標を明確にでき、簡易的なリハビリが考案できた。また患者がリハビリに積極的に取 り組めた。よって斜視手術後における視野チャートは有効であった。
  • 星原 徳子, 岡 真由美, 新井 紀子, 山本 真代, 河原 正明, 宮崎 裕子
    日本視能訓練士協会誌
    2009年 38 巻 125-132
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
     片眼性滑車神経麻痺症例に斜視手術および視能矯正を施行したが、融像衰弱のため日常生活での不自由さが継続した症例の長期経過を報告する。
     症例は77歳の男性(造園業)である。2003年右眼滑車神経麻痺、輻湊障害を急性発症し、2004年他院で斜視手術を施行後、視能訓練とプリズム装用で経過観察されていた。複視に伴う日常生活での不自由さが強いことから、同年当院に転院となった。
     当院初診時、眼位は、近見で4△内斜位斜視、遠見で16△内斜視およびわずかな右上斜視、外方回旋斜視であった。両眼視機能は正面視を含む部分融像であり、大型弱視鏡検査で融像衰弱がみとめられた。
     初診後4か月、融像域の狭窄が顕著となり、外方回旋斜視、内斜視に対して斜視再手術(右眼上直筋耳側移動5mm、右眼外直筋短縮術3.5mm)を施行した。その後、経過は良好であった。
     術後3年5か月、急に複視の悪化を訴え受診した。遠見の内斜視角は18△に増大し、融像域は上下方視で狭窄した。眼球運動は特に上転障害があり、slow saccadeとsaccadic pursuitがみられ、輻湊近点の延長を認めた。Bell現象は左眼陽性、眼瞼痙攣は左片側であった。MRI所見では、中脳領域の萎縮によるハチドリ徴候が確認されたため、他院神経内科を紹介受診した。術後4年、眼球の下転障害が併発し、融像域が狭窄した。眼瞼痙攣は両側となり、仮面様顔貌、Romberg徴候陽性の運動失調とMRI所見から、進行性核上性麻痺が疑われた。
     後天性
    眼球運動障害
    に対してプリズム療法は有用な例が多い。しかし、プリズム装用後も日常生活の不自由さが強い高齢者においては、核上性
    眼球運動障害
    合併の可能性があり、眼球運動および全身症状の確認を行うことが重要である。
  • 横山 大輔, 瀧川 円, 小野 しずか, 新井 紀子, 古吉 三紀, 古吉 直彦
    日本視能訓練士協会誌
    2014年 43 巻 161-166
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/19
    ジャーナル フリー
    【目的】糖尿病眼筋麻痺は予後が比較的良好といわれているが微小な偏位や自覚症状の残存する症例をしばしば経験する。今回当院の糖尿病眼筋麻痺について臨床所見ならびに予後とその関連因子について検討した。
    【対象と方法】対象は2004~2013年に糖尿病眼筋麻痺と診断した14例である。発症年齢33~91歳。検査は交代プリズム遮閉試験、Bagolini線条鏡を用いた融像野試験、眼球運動検査、ヘモグロビンA1c(HbA1c)等を行った。深井らの後天性
    眼球運動障害
    の治癒基準に従った8)
    経過観察期間は1か月~2年である。
    【結果】眼筋麻痺は全例が一側の単独神経麻痺を生じ、3例に他の神経に再発を認めた。内訳は動眼神経7眼、滑車神経4眼、外転神経6眼であった。治癒例は14例中10例(71%)であった。治癒までの期間は平均2.6か月であった。残存例は4例(29%)であった。残存例は、発症から5か月以上経過しており、動眼神経麻痺の上下筋障害が多かった。発症時のHbA1c7%以上は14例中11例(79%)に認めた。発症時のHbA1cが7%以上、血糖コントロール不良例、糖尿病罹病期間5年以上の症例に残存が多かった。また2例は眼筋麻痺発症が糖尿病発見の契機になった。
    【結論】糖尿病眼筋麻痺で残存例を29%に認めた。血糖コントロールは予後に影響を及ぼすことが示唆された。
  • -神経耳科的検討-
    縄田 安孝, 市川 銀一郎, 青木 勝三郎, 渡辺 道隆, 古川 朋靖
    Equilibrium Research
    1991年 50 巻 3 号 311-316
    発行日: 1991年
    公開日: 2009/10/13
    ジャーナル フリー
    A 68-year-old woman had a gait disturbance, diystonia, neck retroflexion, and disturbed vertical ocular movements which led us to the clinical diagnosis of progressive supranuclear palsy.
    Neurootologically, upward and downward gaze were disturbed, and dolls eye phenomenon was positive. In addition, convergence was disturbed. In vertical eye movements, both smooth pursuit and saccade were disturbed, but in horizontal eye movements, only smooth pursuit was disturbed.
    Optokinetic nystagmus featured poor responces both vertically and horizontally. A visual suppression test revealed marked firing bilaterally. The findings of various examinations suggested that the pathological focus in this case was in the supranuclear area of the midbrain.
  • 岡 真由美, 河原 正明
    日本視能訓練士協会誌
    2016年 45 巻 5-11
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/02/28
    ジャーナル フリー

     外転神経麻痺例に対する視能訓練効果から、日常生活評価を重視した視能訓練法について報告した。

     対象は視能訓練を実施した後天外転神経麻痺16例で、年齢は32~87歳であった。原因疾患の内訳は、末梢血管障害、自己免疫疾患、脳外科術後などであった。視能訓練は、衝動性眼球運動訓練、fusion lock training、プリズム装用を行った。視能訓練の他覚的評価は融像を主体とした治癒基準を用い、治癒度Ⅰが融像野30°以上、治癒度Ⅱが融像野30°未満、治癒度Ⅲが麻痺筋の作用方向で融像障害が残存するものとした。

     治癒度別の症例数は、治癒度Ⅰ(以下、治癒度Ⅰ群)13例、治癒度Ⅱ・Ⅲ群3例であった。治癒度Ⅰ群の治療開始時期は発症より6か月未満であった。治癒度Ⅰ群の視能訓練開始から治癒までの期間は末梢血管性で最も短期であり、小脳橋角部髄膜腫で長期を要した。治癒度Ⅰ群は狭い融像野と部分融像の症例が多く、衝動性眼球運動訓練とfusion lock trainingが有用であった。乗用車運転時の安全確認等で不自由が残存した症例に対しては、遠見でのfusion lock trainingにより日常生活での満足度が改善した。

     視能訓練効果の獲得には、発症より6か月未満に開始し融像状態に応じて実施すること、日常生活評価を指標とすることが重要であった。

  • 山田 昌和
    杏林医学会雑誌
    2018年 49 巻 3 号 249-252
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/03
    ジャーナル フリー
  • 岡 真由美, 星原 徳子, 河原 正明
    日本視能訓練士協会誌
    2024年 54 巻 7-13
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/02/22
    ジャーナル フリー

    後天

    眼球運動障害
    に対する効果的な視能訓練療法の実践のため、fusion lock trainingの原理について、両眼視眼位のコントロールシステムのモデルと外眼筋自己受容器系による相反神経支配の再建の観点から考察した。両眼視眼位のコントロールシステムのモデルでは、網膜像のずれ(複視)が生じた時に、それを減少させるために速い融像運動を生じ、vergence adaptationを引き起こす。vergence adaptationは長期にわたるmuscle length(以下、外眼筋の長さ)のadaptationを刺激する。それにより機能的で正確な外眼筋の長さをもたらし、両眼視眼位が保持されるようフィードバックされる。このモデルを利用すると、複視に対して融像刺激を与えることでvergence adaptationと外眼筋の長さのadaptationが作動し、両眼視眼位の保持が可能となる。この融像刺激がfusion lock trainingである。fusion lock trainingにおいて融像下での滑動性追従運動を負荷したとき、外眼筋の伸展情報は外眼筋自己受容器系に伝わり、外眼筋の長さのadaptationが作動して機能的で正確な筋の長さが保持される。これら一連の過程は相反神経支配の再建を図り、麻痺筋の機能回復とともに同側眼の拮抗筋の痙縮を予防または解除し、融像野の拡大を可能にすると説明できる。また後天
    眼球運動障害
    の治癒度には、vergence adaptationや外眼筋自己受容器の神経学的メカニズムが作動する時期および神経損傷の程度、融像状態が影響すると考えられた。後天
    眼球運動障害
    に対する視能訓練療法においては、患者一人ひとりの病態に応じた神経生理学的な原理に基づくアプローチを行い、アウトカムの向上を図る必要がある。

  • 柴田 拓也, 濱田 瑞恵, 田口 亜希子, 石井 祐子, 若倉 雅登, 井上 治郎
    日本視能訓練士協会誌
    2007年 36 巻 113-117
    発行日: 2007/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:甲状腺眼症の治療効果の判定にMRI画像などを用いることが多いが、必ずしも患者の自覚症状とは一致しない。今回我々は、甲状腺眼症患者の自覚症状としての複視の程度と、大型弱視鏡及びヘス赤緑試験(以下、ヘス)のデータを比較し、そして、治療前後における定量的眼位検査の結果と自覚的複視の変化について検討した。
    対象及び方法:対象は、当院にて平成11年8月~平成16年11月にメチルプレドニンパルス治療と併行して放射線治療をうけた甲状腺眼症患者29例。自覚症状として9方向における複視の程度をスコア化した。大型弱視鏡では、上方及び下方15°と正面の自覚的斜視角測定結果から水平、上下+回旋に分類した偏位度を求めた。また、ヘスでも上方及び下方15°と正面の測定結果からの偏位度を求め、それぞれ算出した。これらのデータを治療前、治療直後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後、最終来院日で比較し対応のあるt検定を行った。
    結果:複視の程度のスコアは、治療前と治療後とで有意に減少した。大型弱視鏡の結果は時間とともに減少し、水平偏位よりも、特に上下+回旋偏位で有意であった。ヘスにおいては、上方・正面の偏位度で有意な減少が見られたが、大型弱視鏡の上下+回旋偏位ほどではなかった。複視の程度の経時的変化は、定量的眼位検査である大型弱視鏡・ヘスの上方・正面の結果とよく対応していた。
    結論:甲状腺眼症の治療前後の評価において、複視の程度と定量的眼位検査の結果を用いることは、治療効果の推定に有用であると考えた。
  • 渡部 喬之, 鈴木 久義
    作業療法
    2021年 40 巻 6 号 713-720
    発行日: 2021/12/15
    公開日: 2021/12/15
    ジャーナル フリー
    脳損傷による
    眼球運動障害
    に苦しむ患者は多いが,そのリハビリテーションの方法は確立されていない.本稿では,眼球運動の神経機構,脳画像所見と予後予測,一般的な評価や治療を概説したのち,国内外の脳損傷者に対する
    眼球運動障害
    改善のためのリハビリテーションの報告を俯瞰し,臨床での活用をテーマに再考した.過去の研究では,追視,固視,サッケード,輻輳を促通する訓練が眼球運動を改善させると報告されており,訓練時間や頻度も通常診療のなかで実施可能な範囲であった.
    眼球運動障害
    は,生活に大きな影響を与えるものである.作業療法士が,積極的な
    眼球運動障害
    への評価,介入とその効果検証を行っていく必要があると考える.
  • 種本 寛加, 木村 久
    日本視能訓練士協会誌
    2021年 50 巻 143-147
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/22
    ジャーナル フリー

    【目的】視能訓練の後に麻痺が改善し、個体内評価にて訓練効果が確認できた後天上斜筋麻痺の1例を経験したので報告する。

    【症例】72歳女性。外方回旋複視を自覚したため他院にて検査を受け、自宅療養をするも回復しないため当診療所を受診した。右後天上斜筋麻痺と診断し、発症58日目から視能訓練を開始したところ、発症98日目には複視が改善して車の運転が再開可能となった。発症247日目で眼位は正位となり、Hess赤緑試験などは正常化した。

    【結論】発症直後と訓練開始時とで検査所見に差はなく、訓練開始後に急速な改善が始まり治癒に至ったことから、本例の麻痺性斜視に対して視能訓練が有効であったことが示唆された。

  • 新村 裕加, 山田 恭平, 神田 亮, 工藤 章, 杉原 俊一
    作業療法の実践と科学
    2019年 1 巻 1 号 1-6
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/04
    ジャーナル フリー
    脳幹梗塞では,One and Half症候群などの特徴的な
    眼球運動障害
    を認めることがある.この病態では,左右の水平注視麻痺の影響から複視も出現する.その為,食事の際に食器が二重に見える等の症状が認められる.現在,脳幹梗塞後の
    眼球運動障害
    に対する介入については一致した見解はない.そこで本研究は,One and Hal f症候群による
    眼球運動障害
    が日常生活に影響を与えていた症例に対し,前庭眼球運動と滑動性眼球運動を用いた介入を実施し,左右の眼球運動範囲の拡大を図った.経過の中で,これら2つの運動を用いた介入により眼球運動範囲の拡大がみられ,日常生活上の苦痛の訴えが軽減し日常生活動作の改善を認めた.
  • 浅川 賢, 石川 均, 庄司 信行, 清水 公也
    日本視能訓練士協会誌
    2010年 39 巻 87-92
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/28
    ジャーナル フリー
    【目的】核上性垂直
    眼球運動障害
    に対して視能矯正を施行し、その効果を検討すること。
    【症例および方法】22歳の男性、松果体腫瘍治療後に残存する正面および上方視時の複視を主訴に来院した。初診時所見として視力、視野は正常、眼位はskew deviation(6△LH(T))を伴い、垂直注視麻痺はほぼ治癒していたが、上方視における衝動性眼球運動時の眼球運動速度低下と滑動性眼球運動時の輻湊後退眼振、対光-近見反応解離が見られた。また体育教諭を目指しており、実技実習が困難である問題点を有していた。そこで視能矯正としてプリズム眼鏡処方および月に1回外来にて大型弱視鏡によるfusion lock trainingとEOGによる眼球運動訓練(狭義)、家庭訓練では赤フィルターとメジャーテープによる方法を毎日20分間施行した。訓練効果は融像域(°)と眼球運動速度(deg/sec)にて判定した(垂直方向は1△=0.5°換算)。
    【結果】訓練開始時、正面視に対する複視はプリズム眼鏡にて消失するも、上方視時の違和感は解消されなかった。また大型弱視鏡による融像域は右方20°、左方30°、上方0.5°、下方2°と上方が狭く、衝動性眼球運動時のundershootも見られたが、訓練6か月後には融像域が左右方向ともに30°、上方2°、下方3°と拡大し、眼球運動速度も250deg/secから285deg/secとなり、自覚症状が改善された。
    【結論】訓練期間が6か月にも及び患者の意欲も重要ではあるが、核上性垂直
    眼球運動障害
    に対する視能矯正により融像域拡大と眼球運動速度の改善が認められた。
  • 坂上 達志
    日本視能訓練士協会誌
    2002年 31 巻 45-56
    発行日: 2002/08/25
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    中高齢者における
    眼球運動障害
    として、外転神経麻痺、動眼神経麻痺、滑車神経麻痺、甲状腺眼症、重症筋無力症の診断と治療について述べた。
    眼球運動障害
    の原因疾患の診断は、眼科的検査で概ね可能である。斜視手術は、神経麻痺では
    眼球運動障害
    の自然寛解を考慮し、少なくとも発症後3か月以降に行うべきである。斜視手術によりすべての麻痺性斜視で概ね良好な結果が得られるが、神経麻痺では動眼神経麻痺が治り難く、筋麻痺では重症筋無力症が治り難い。
  • 鈴木 義行, 高橋 健夫, 橋田 巌, 永島 久子, 北本 佳住, 今井 礼子, 山川 通隆, 早川 和重, 三橋 紀夫, 新部 英男
    北関東医学
    1996年 46 巻 1 号 41-45
    発行日: 1996/01/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌の骨転移は比較的まれである.その中で頭蓋底に転移し,
    眼球運動障害
    が初発となるのはまれである.今回, 左
    眼球運動障害
    を呈した, 肝細胞癌の頭蓋底転移の1例を経験したので報告した.患者は60歳, 男性.左
    眼球運動障害
    で発症し, MRIで頭蓋底に4cm×3cm×2cmの腫瘤が認められ, 部分摘出術が施行された.切除標本の病理学的検索で肝細胞癌に一致する所見が認められた.また, 腹部CTとGaシンチグラムで肝に腫瘤が認められ, 肝細胞癌と診断された.頭蓋底, 肝, 骨転移部に放射線治療が施行され, 症状の改善が認められた.
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