2000年に臨床材料から分離された菌株を川いて, cefepimeをはじめとするβ-ラクタム薬間での感受性および耐性菌の出現状況を把握する目的で, 全国レベルで疫学調査を実施した。1997年および1998年に実施したサーベイランスに参加した22施設に新たに22施設を加えた43施設 (前回の参加施設中1施設不参加) がEtestを川いて, それぞれの施設から分離された10菌種, 各10菌株に対する薬剤感受性試験を実施した。グラム陽性菌のoxacillin感性
Staphylococcus aureusおよびoxacillin感性コアグラーゼ陰性staphylococciではceftazidimeを除き耐性菌の出現は認められなかった。
Escherichia coliにはimipenemに対する耐性菌は認められなかったが, piperacillin, ceftazidime, cefやirome, cefoperazone/sulbactamおよびcefepimeに対する耐性菌がそれぞれ11.9%, 1.0%, 1.0%, 0.5%および0.5%存在した。
Klebsiella spp.に対しては, imipenemに対する耐性株は認められなかったがその他の薬剤に対しては, piperacillinに7.2%, ceftazidimeに0.2%, cefepimeに0.2%, cefやiromeに0.7%, cefoperazone/sulbactamに1.5%の割合で耐性菌が認められた。
Citrobacter spp.にはimipenemに対する耐性株は認められなかったが, その他の抗菌薬に関しては, piperacillinに18.4%, ceftazidimeに19.5%, cefepimeに0.6%, cefpiromeに1.7%, cefoperazone/sulbactamに5.8%の割合で耐性菌が認められた。
Enterobacter spp.ではimipenemに対する耐性菌は認められなかったが, その他の薬剤はそれぞれcefepimeが1.3%, cefpiromeが5.3%, cefoperazone/sulbactamが8.5%, piperacillinが18.0%, ceftazidimeが22.8%の割合でそれぞれ耐性菌が認められた。インドール陽性
Proteusの場合, cefpiromeおよびcefOpimeには耐性株が認められず, imipenemに対する耐性率は0.9%であった。
Serratia spp.に対してはimipenemが4.5%, cefepimeが6.5%, cefpiromeおよびceftazidimeが7.7%および8.0%の割合でそれぞれ耐性株が認められ, piperacillinおよびcefoperazone/sulbactamの耐性率と比較して小さい値を示した。
Pseudomonas aeruginosaでは, ceftazidimeが10.8%, cefepimeが12.5%, cefoperazone/sulbactamが13.2%およびpiperacillinが15.7%の耐性率を示したが, cefpiromeおよびimipenemに対しては20%以上の菌株が耐性を示した。
Acinetobacter spp.では, cefoperazone/sulbactamが0.3%, imipenemが3.1%, ceftazidimeが4.5%, cefOpimeが5.1%, cefpiromeが5.4%, およびcefoperazone/sulbactamが5.9%の割合で耐性菌が存在した。以上の結果を総合すると, cefepimeに対する耐性菌の割合は, 今回対象としたほかのβ-ラクタム薬と比較して, 同等あるいはそれらより低いものと考えられた。
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