好酸球性胃腸炎は, 消化管壁への好酸球浸潤を特徴とする比較的まれな疾患である.通常, この疾患にみられる腸閉塞では腸管壁の浮腫・肥厚による機械的閉塞が引き起こされる.しかし, 今回, 我々は, 好酸球の腸管壁への浸潤が腸管神経叢を障害し, 機能的腸閉塞を起こしたと考えられる好酸球性胃腸炎の1例を経験した.症例は3歳の女児.腹痛と嘔吐を主訴に来院し, CTおよび注腸造影より大腸狭窄による腸閉塞を疑われ, 手術が施行された.手術所見では, 癒着, 索状物, 腸管の壁肥厚等は認められなかったが, 横行結腸に明らかなcaliber changeを認め, この部位を切除した.切除標本の病理学的検索で, Auerbach神経叢への高度の好酸球浸潤を認め, "eosinophilic myenteric ganglionitis"と診断した.術後経過は順調で, 術後5日目から経口摂取が可能となり, 術後10日目に退院した.以後, 再発の徴候なく経過している.
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