1930年代は,日本の
社会政策
論の大きな転機となった。大河内理論の登場によって,それまで
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論の対象であった生活=消費過程が切り離され,
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=労働政策へと著しい収斂をみせたのである。いいかえれば,「本来」の
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論(=<労働政策+生活政策>)がそれなりの発展を遂げた世紀転換期あたりから1920年代前半までは,日本
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論史におけるひとつの画期であった。そうした研究史の系譜のなかで,本論文は戦前期の
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論を新たな角度から照射しようとするものである。そこで重要な意味をもったのが,1910年代から1920年代にかけて人口論児童・少年問題保健・医療の領域で論陣を張り始めた社会学をベースとする
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論である。それをリードした高田保馬,永井亨をはじめ,生活政策的な
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の追究と深く関わった論者の学説は,当時支配的であった<経済学>系
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論に対して<社会学>系
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論として特徴づけることができる。
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