本研究の目的は,地域住民の計画能力の形成要因と方法について, C市
のA地区とB地区における事例を比較分析することにより明らかにする
ことにある.
C市では,地区
社会福祉協議会
が中心となり, 2000年度より小地域福
祉活動計画に取り組んでいる.計画能力の形成要因を抽出するため,計画
能力が高いと恩われるA地区と計画能力が比較的低いと思われるB地区
とを比較分析した.
その結果,①各地域組織が互いに, 日常的なコミュニケーションをとる
豊富な機会や仕組み,②地区
社会福祉協議会
と,自治会をはじめとする各
地域組織とが日常的にコミュニケーションをとる豊富な機会や仕組み,③
地区
社会福祉協議会
が意図的に自治会をはじめとする各地域組織と協議,
協働しようとする意欲と実践,④地区
社会福祉協議会
の拠点事務所の存在,
⑤地区
社会福祉協議会
構成員一人ひとりの主体性を引き出す仕組み,⑥地
区
社会福祉協議会
構成員一人ひとりが活動の負担を分かち合う仕組み,⑦
地区
社会福祉協議会
長のリーダーシップ,⑧地区
社会福祉協議会
の存在意
義を高める仕組み,が計画能力の形成要因として抽出され,地区社会福祉
協議会は,独創的な方法によりそれら諸要因を成立させていることが明ら
かとなった.
今後, このような事例研究を数多く蓄積することによって,住民の計
画能力の形成を促進する地域福祉の方法論を明らかにすることが求められる.
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