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クエリ検索: "社会階層"
7,296件中 1-20の結果を表示しています
  • -官庁統計と社会調査データに基づく一考察-
    岡邊 健
    現代の社会病理
    2010年 25 巻 77-96
    発行日: 2010/09/22
    公開日: 2024/10/09
    ジャーナル オープンアクセス
    この論文の第1の目的は、現代日本における
    社会階層
    と少年非行との関係に関するエビデンスを提示することである(研究1)。用いられるデータは、非行に関する官庁統計と国勢調査である。
    社会階層
    の指標としては、学歴が用いられた。本論文はまた、
    社会階層
    と非行との間の因果的な連関について明らかにすることも、目的としている(研究2)。
    社会階層
    の指標としては、文化資本と進学希望が用いられた。369組の中学生とその親に対する調査が行われ、
    社会階層
    と非行との関連に関する仮説が検討された。分析には、潜在変数を伴う構造方程式モデリングを用いた。主な知見は以下の通りである。(1)
    社会階層
    と少年非行は関連性を持っていた。(2)
    社会階層
    と凶悪犯罪や薬物犯罪との間には、強い関連が見られた。(3)
    社会階層
    の非行に対する直接効果はなかった。(4)親の不適切な養育と本人の学校不適応を媒介して、
    社会階層
    が非行に与える間接効果がみられた。
  •  
    都築 一治
    理論と方法
    1989年 4 巻 2 号 2_25-2_40
    発行日: 1989/10/20
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
     従来の職歴研究の多くは、変わりゆく現職を分析対象としながらも、その変化を十全に捉える方法を持たなかった。永く、静的な計量分析技法による職歴移動分析が行なわれ続けてきたのである。ところが、1970年代の後半から職歴移動研究に動的な計量技法であるイベントヒストリー分析が用いられはじめたことによって、変化の基底となる時間が明示的に分析にあらわれ、対象と分析手法の隔たりが徐々にうめられつつある。この分折技法の進化は、日本におけるSSM研究にも影響を与えている。
     このように職歴分析において基底をなす時間と職歴移動との関連は、しかし、理論的には必ずしも十分に整理されているとはいえない。むしろ、われわれは時間と移動をめぐるメカニズムに無自覚なまま分析技法をデータに適用しているといえるような状態に近づいているのかも知れない。こうした点に鑑みて、本稿は職歴研究に登場するいくつかの時間関連変数を職歴移動との関わりのメカニズムに基づいた整理を試みている。ここでは、個々人と職業的地位のマッチングの変化がその他の要因から独立にある場合を時間と移動との関わりが‹無媒介的›であるとし、時間経過が第3の要因の変化をともない、それが移動に影響を及ぼす場合を‹媒介的›な関連として区分し、それぞれのメカニズムに対応する時間関連変数と職歴移動との関連をデータをもとに検証した。
  • 新堀 通也
    教育社会学研究
    1958年 13 巻 180-189
    発行日: 1958/10/20
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • ―転職に伴う賃金変化構造の時代的変遷―
    林 雄亮
    社会学年報
    2008年 37 巻 59-70
    発行日: 2008/07/17
    公開日: 2013/12/27
    ジャーナル フリー
     労働市場の流動化は世代内移動,とりわけ転職行動の活発化と言い換えることができる.理論的には,転職行動の増加は労働市場の効率化とジョブ・マッチングの向上という意味から肯定的に捉えられてきた.しかし,実際の転職行動には転職後の賃金低下やキャリア形成の阻害となる可能性が存在し,どのような状況下でも個人にとって望ましい結果をもたらすとは限らない.
     そこで本稿では,労働市場の状況によって世代内移動の帰結が変化するプロセスについて,転職行動に伴う賃金低下構造の時代変化から考察する.転職に伴う賃金低下のメカニズムは先行研究の蓄積がなされているが,本稿の目的は時系列分析によって先行研究が問題にしてこなかった長期的トレンドを把握することである.
     分析の結果,以下の知見が得られる.1950年代後半から2005年にかけて流動性の高まりと賃金低下率の上昇が確認できる.賃金低下メカニズムに関する多変量解析を時代別に行った結果,バブル経済期までの時代では企業規模間の下降移動のみが賃金の低下に強い影響を与えていたが,それ以降は,企業規模間の下降移動に加えて,非正規雇用への移動,会社都合による離職,前職勤続年数の長さが統計的有意に賃金の低下に寄与している.したがって,転職に伴う賃金低下構造にみる世代内移動の帰結は,1990年代以降大きく変化したのである.
  • 鹿又 伸夫
    理論と方法
    1992年 7 巻 1 号 1-18
    発行日: 1992/04/01
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
     階層・移動研究の沈滞と混迷が指摘されている。本稿では、その沈滞と混迷について、次の諸点を論じる。(1) 階層・移動研究では、計量的分析の成熟という条件のもとで変数指向戦略が偏重されたために、諸仮説の個別化・競合化が進み、分析結果が錯綜する事態を生んでいる。そのため、(2) どこまで実証されたかを経験的に確証する方向へも、そして新たな理論構想を演繹的に論証する方向へも進展していない。最後に、(3) 沈滞と混迷の状況を打開する方途を、変数指向戦略、解釈的戦略、数理的戦略などの研究戦略の結合という観点から考案する。
  • トライマン命題の再検討
    直井 優
    現代社会学研究
    1990年 3 巻 1-26
    発行日: 1990/05/10
    公開日: 2010/07/27
    ジャーナル フリー
    The purpose of this paper is to examine the relationships of industrialization and social stratification from the longitudinal data of Social Stratification and social Mobility Survey (SSM Survey) in post-war Japan. It is well known that industrialization has caused large changes in the social stratification. Treiman hypothesized the relationships between industrialization and the changes of social stratification in general. Our main attempts are more to investigate his propositions on the basis of national surveys conducted in 1955, 1965, 1975 and 1985. These data are very useful to examine his propositions. Our analysis shows that most of his propositions are rejected, and some of his propositions are supported, but they have been limited in the special period. We know that industrialization not always has linear effects on social stratification.
  • 橋本 健二
    理論と方法
    2008年 23 巻 2 号 2_5-2_22
    発行日: 2008/11/30
    公開日: 2009/01/05
    ジャーナル フリー
     「格差社会論」が注目を集めるなかで、階級研究・
    社会階層
    研究は、拡大する経済格差と「格差の固定化」など、社会的に注目されている諸現象を十分解明することができず、社会学に対する社会的要請に応えることができない状態にある。このことは同時に、現代日本の階級研究・
    社会階層
    研究が、社会学の諸分野に階級または
    社会階層
    という有効な独立変数を提供するという固有の使命を十分に果たしえない状況にあるということを意味する。
     階級研究・
    社会階層
    研究の困難をもたらしたのは、その戦後日本における独特の展開過程だった。そこでは階級という概念が、政治主義的な主体、あるいは前近代的性格を残した世代的に固定的な集群とみなされ、対称的に
    社会階層
    は、連続的な序列、あるいはその中に人為的に作られた操作的カテゴリーにすぎないとみなされた。このため日本において階級と
    社会階層
    は、その有効性と現実性を大きく制約されてしまった。
     階級研究・
    社会階層
    研究のこうした弱点と困難を克服するためには、(1)Marxの両極分解論を明確に否定して、資本家階級、新中間階級、労働者階級、旧中間階級の4階級図式、あるいはそのバリエーションを採用するとともに、(2)階級所属が産業構造、労働市場、家族、国家などさまざまな制度によって媒介されることによって形成される社会的カテゴリーとして
    社会階層
    を定義することが有効である。本論文ではこうしたアプローチを「階級―
    社会階層
    研究」と呼び、1965年SSM調査データ再コードデータの分析によってその有効性を明らかにする。
  • 橋本 健二
    社会学評論
    2008年 59 巻 1 号 94-113
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2010/04/01
    ジャーナル フリー
    今日の「格差社会論」の隆盛は,これまでの階級・
    社会階層
    研究には深刻な問題があったことを明らかにした.階級・
    社会階層
    研究は,拡大する経済格差と「格差の固定化」など,社会的に注目されている諸現象を十分解明することができず,社会学に対する社会的要請に応えることができない状態にある.このことは同時に,社会学の諸分野に階級または
    社会階層
    という有効な独立変数を提供するという,階級・
    社会階層
    研究の固有の使命を十分に果たしえていないということも意味する.
    こうした階級・
    社会階層
    研究の困難をもたらしたのは,その戦後日本における独特の展開過程だった.戦後日本の階級研究は大橋隆憲によって確立され,その階級図式は社会学者を含む多くの研究者に受け入れられたが,それはMarxの2階級図式を自明の前提とし,しかも労働者階級を社会主義革命の担い手とみなす政治主義的なものであり,1980年代には有効性を失った.
    社会階層
    研究を確立した尾高邦雄も,同様に階級を政治的な存在とみなしたが,大橋とは逆に現代日本には明確な階級が存在しないと考え,連続的な序列,あるいはその中に人為的に作られた操作的カテゴリーとしての
    社会階層
    の研究を推進した.こうして日本では,他の多くの国とは異なり,階級と
    社会階層
    がまったく別の概念とみなされるようになり,その有効性と現実性は大きく制約されてしまった.
    階級・
    社会階層
    研究のこうした弱点と困難を克服するためには,(1)Marxの2階級図式を明確に否定して,資本家階級,新中間階級,労働者階級,旧中間階級の4階級図式,あるいはそのバリエーションを採用するとともに,(2)
    社会階層
    を,階級所属が産業構造,労働市場,家族,国家などさまざまな制度によって媒介されることによって形成される社会的カテゴリーとして定義することが有効である.このとき階級と
    社会階層
    の不毛な対立は克服され,両者を相互補完的に活用することにより,現代社会の構造を分析する生産的な研究分野としての「階級-
    社会階層
    研究」を構想することができよう.
  • 盛山 和夫
    理論と方法
    1994年 9 巻 2 号 111-126
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2016/08/26
    ジャーナル フリー
     女性の地位や階層をどう位置づけるかは、今日の階層研究の最重要課題の一つであるだけでなく、階級階層理論の根本的再編を迫るものでもある。1980年代にイギリスのSociology誌上を中心に展開されたゴールドソープとその批判者たちとの論争は、表面上はどちらがデータ分析上より有効な階級概念であるかをめぐるたたかいであったが、実際上は経済秩序の中で女性が層としておかれている状況を従来の階級理論が無視していることに関するものであった。社会的閉鎖理論は階級、性、人種等の社会的亀裂を捉える統合的な概念図式を提供しようとしているが、その説明力は期待できない。本稿はこうした問題状況の中で、女性を位置づけるために階層理論がどのような変貌を遂げなければならないか、そしていかなる具体的な探求課題が存在するか、を示すものである。
  • ―世代間移動表は何を語っているのか―
    佐藤 俊樹
    理論と方法
    1994年 9 巻 2 号 171-186
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2016/08/26
    ジャーナル フリー
     日本の世代間移動表の分析は、しばしば「構造移動/純粋移動」という2種類の移動メカニズムを想定し、構造移動量/純粋移動量/安田係数をその指標としてきた。だが、その枠組みにはさまざまな問題がある。特に、人口再生産と就業選好という、社会移動の供給側要因が実質的に無視されている。本論文では次の2点を示す。1)日本では1936~55年を中心に人口再生産に階層差が生じており、SSMの75年と85年のデータに影響を与えている。それをある形に調整すると、75年と85年で安田係数はほとんど変化しなくなる。2)就業選好を考慮すると、構造移動量と「構造移動」とが対応しなくなる。移動表の周辺分布が社会構造やその他個人外在的制約を示すと見なす根拠はない。周辺分布は個人の移動の集計であり、個人の移動要因はすべて周辺分布の決定要因になりうる。個人の移動が就業選好によって影響されるなら、周辺分布も就業選好によって影響されるのである。
  • 鹿又 伸夫
    行動計量学
    1997年 24 巻 1 号 20-27
    発行日: 1997/09/30
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    社会階層
    と社会移動全国調査」 (1955年から1995年まで10年ごとの5時点) のデータをもちいて, 戦後日本における世代間移動の変動を検討した. 世代間移動表の調査時点別比較では, 事実移動率, 強制移動率, 純粋移動率, そして安田指数などの移動指標は, 移動機会の流動化と平等化がとくに1955-65年と1985-95年の各10年間に進んだことを示していた. さらに, 各調査時点ごとにコーホート別の移動表を作成して各移動指標を計算し, その推移を分析した. その結果, 強制移動率の増加後の減少, そして純粋移動率の増加の持続といったコーホート別にみられた趨勢は, 時点間比較の結果と一致していた. 機会均等の達成度をあらわす安田指数は, 1955-65年と1985-95年の各10年間に平等化が進んだことを示したが, 1965-1985年時点の各コーホートにはあまり変化が見られなかった. これらの結果は, 産業化と平等化の関連を命題化した各種の産業化仮説 (産業化が進むとともに移動機会の平等化が, 趨勢的に進展する, 変化せずに恒常的である, 進展後に損なわれる, とたがいに異なる関連パターンを指摘する仮説) のいずれとも一致しなかった.
  • ―ファラロ=高坂モデルの拡張の試み―
    渡辺 勉, 土場 学
    理論と方法
    1995年 10 巻 1 号 45-52
    発行日: 1995/05/01
    公開日: 2016/08/26
    ジャーナル フリー
     ファラロ=高坂モデルは、これまでその公理系の中で社会移動という観点から議論されることが少なかった。そこで本稿では、社会移動の観点からFKモデルの仮定を明示化し、あらためて分析してみることにする。ここからわかることは、個人の中で過去の階層イメージを考慮するモデルでは、過去の階層地位が現在の階層帰属意識に逆方向の影響を与えるのに対し、過去の階層地位を考慮するモデルでは順方向の影響を与えるということである。
  • 私立・国立中学校への進学は最終学歴や生活程度を高めるか?
    *大橋 恵, 藤後 悦子, 井梅 由美子
    日本教育心理学会総会発表論文集
    2023年 65 巻 PC001
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/29
    会議録・要旨集 フリー
  • 階層再生産と文化的再生産のジェンダー構造
    片岡 栄美
    年報社会学論集
    2002年 2002 巻 15 号 30-43
    発行日: 2002/06/01
    公開日: 2010/04/21
    ジャーナル フリー
    Why is that many sociologists say that the theory of cultural reproduction coined by Bourdieu has no applicability to Japan? I have shown that there is a structural mechanism that conceals cultural reproduction in Japanese society. Most high status men become cultural omnivores who are familiar with both popular culture and high culture, but overall men are not major consumers of high culture. Because the public field is occupied mainly by men, their patterns of cultural consumption are taken to stand for the Japanese pattern as a whole and thus Japanese culture is seen as popular and equalitarian. High culture and its reproduction receives little attention because it is largely concealed in private domains dominated by women.
  • 階層・移動研究の新たな方向を探って
    鹿又 伸夫
    社会学評論
    1993年 44 巻 3 号 246-261
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2010/01/29
    ジャーナル フリー
    社会階層
    と社会移動の研究において、産業化命題の検証研究を典型として、たがいに矛盾した経験的知見、そして仮説の理論的検討の放置という状況がみられる。その原因として研究戦略の偏り、つまり変数指向戦略の偏重があったことを指摘する。八〇年代後半以降の日本で現れた資産格差の拡大は、変数指向戦略の偏重のために解決されないままの研究課題を残した。それは、格差がどのくらい拡大したのかという実質的問題、そしてそれをどのように説明するのかという理論的問題である。そこで、
    社会階層
    と社会移動の研究のなかで資産格差を分析するための研究枠組を提示する。その枠組では、職業威信の重視を避け、実質的な経済的格差の発見を優先する.また、そうした格差を拡大するメカニズムを想定し、理論仮説およびそれにとって外在的で重要な要因を演繹的に提示する。
  • 三上 文一
    教育社会学研究
    1953年 4 巻 39-55
    発行日: 1953/11/01
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • ―最適マッチング分析の可能性―
    渡邊 勉
    理論と方法
    2004年 19 巻 2 号 213-234
    発行日: 2004/09/30
    公開日: 2008/12/22
    ジャーナル フリー
     本稿では、職歴データの分析を通じて、近年系列データの分析手法として注目されつつある最適マッチング分析の有効性と問題点を検討する。職歴パターンについては、これまで原(1979)、盛山(1988) などによって検討されてきた。ただ職歴データの分析はあまり進んでいるとはいえない。本稿では、1995年
    社会階層
    と社会移動に関する全国調査(SSM調査)の職歴データを最適マッチング分析により検討する。まず入職から10年間、および30年間の職歴データについて、最適マッチング分析によって距離行列を求め、さらにクラスター分析によって、それぞれ6つのクラスターを析出した。また初職、現職、学歴、職歴パターンの関係を明らかにするために、ブール代数分析をおこなった。以上の分析から、既存の類型化とは異なり、職歴の包括的な類型化が可能であることを示し、従来の分析方法では十分にできなかった職歴の新たな分析の可能性があることを示した。
  • 千石 好郎
    社会学評論
    1992年 42 巻 4 号 441-442
    発行日: 1992/03/31
    公開日: 2009/11/11
    ジャーナル フリー
  • JGSS累積データを用いた社会移動研究における時系列的探索分析の試み
    相澤 真一, 香川 めい
    年報社会学論集
    2008年 2008 巻 21 号 131-142
    発行日: 2008/07/20
    公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    The aim of this paper is to unravel the change in the functions of the high school diploma using time-series variation in the structures of intra-generational mobility.
    First, we try to set demarcation lines between birth years by examining intra-generational mobility, occupational structure based on the first job, and enrollment ratios in the institutions of higher education. Exploring these three aspects for every birth year between 1932 and 1965, five different phases are inductively suggested. Second, the five different phases are compared with 10-year demarcations to verify the former by analyzing chances for advancement to managerial level. We find that using 10-year phases only shows static and limited results. But result using time divisions developed in the exploratory phase produced results that clearly shown the changing impact of academic attainment depending on the period.
  • ──目的・プロセス・意義──
    有田 伸
    教育社会学研究
    2021年 108 巻 19-38
    発行日: 2021/07/07
    公開日: 2023/04/08
    ジャーナル フリー

     本稿は,計量的な社会学研究を事例として,日本と他のアジア社会との比較研究はいったい何をなし得るのか,またそのさらなる可能性を追求するためには,どのような点に留意しながら研究を進めていけばよいのかを,いわば研究の舞台裏に当たる部分にも積極的に触れながら検討していく。本稿ではまず,コーン(Kohn)の分類に基づき,比較社会研究の類型を確認した後,具体的な研究事例に即して,アジア比較社会研究が何を目的としており,具体的に何を行っているのかを,知見の導出プロセスにまで踏み込みながら考察する。さらに計量的な比較社会研究には,調査票の翻訳過程にも,社会間の微細な差異を見出し,それぞれの社会の特徴に関して新しい研究を進めるための契機が存在していることを,筆者が経験した2005年SSM調査プロジェクトの韓国調査を事例に論じる。また比較社会研究の契機は,さまざまな媒体を通じた社会間接触や社会間関係に着目することによっても得られることが示される。これらを通じ,大枠では類似しながら細部は微妙に異なる日本と他のアジア社会との比較研究は,私たちが自明視してしまっている想定や価値観の相対化を通じて,新たな研究を進めていくための契機をもたらしてくれるのみならず,理論的な貢献や,日本社会研究の国際発信への寄与など,多くの大きな意義を持つものと結論付けられる。

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