1) 重症脳性麻痺32剖検例の検索をもとに, 病理所見を概括, 臨床との対比を試みた. 2) 神経病理学的所見から, これらはA, B, Cの3群に分けられる. A群は損傷脳群 (brain damaged) で20例あり, これは周生期もしくは出産後の早期に障害を受ける. B群は奇形脳群 (brainmalformation) で8例, C群はその他で進行性の代謝障害, 変性疾患3例がこれに属する.
3) A群の主な病変は外套の広汎な嚢胞化, 髄質硬化, 脳前半部段状萎縮, アンモン角萎縮, 基底核のstatusmarmoratus, 視床及び小脳損傷などがみられる.
4) B群では大脳のpachygyria, micropolygyria, ヘテロトピーなどの他に, 小脳虫部欠損, 小脳のmicropolygyria, 歯状核及び下オリーブ核の形態異常, 脳幹錐体路走行異常などが主なものである.
5) C群では発達早期から発症する小脳変性症がある.
6) 臨床症候との対比として, 嚢胞脳及び髄質硬化と失脳状態, 脳幹被蓋網様体病変と点頭てんかん, 小脳病変と筋緊張低下などをあげた.
7) 臨床症状及び病理所見から, prenata1とperinata1, postnata1は異り, 後2者についてはすくなくとも生後1年くらいまでの間では両者は極めて似たパターンをとることをのべた.
8) 病理成因について若干の考察を加えた
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