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クエリ検索: "統合失調症"
9,971件中 1-20の結果を表示しています
  • 瀬戸口 ひとみ, 糸嶺 一郎, 朝倉 千比呂, 鈴木 英子
    日本保健福祉学会誌
    2017年 23 巻 2 号 35-45
    発行日: 2017/03/21
    公開日: 2017/07/25
    ジャーナル オープンアクセス

    目的:

    統合失調症
    者の病いとの「折り合い」の概念について定義を明確にする。

    方法:Rodgers(2000)の概念分析アプローチ法を用いた。データ収集は、医中誌他、6つのデータベースを用いた。検索語は「折り合い」、「折り合い」の類似概念として「受容・

    統合失調症
    」を用いた。英論文では「Identity adaptation schizophrenia」で検索を行った。最終的に抄録のある原著のみとし、日本語論文32編、英論文2編を抽出した。各文献について先行要件、属性、帰結の内容を抽出し、各項目をカテゴリー化した。

    結果:属性として、【病気との共存】【自己に対する肯定的認識】【今の自分にあった家族や人との付き合い方】【新たな価値観の獲得 】【セルフモニタリングの強化】【自分らしく生きる】の6つのカテゴリーが抽出された.先行要件は個人的要因と環境的要因の二つに大別され,個人的要因として【病いに関連する苦悩】【病いに関連した否定的体験】【日常生活困難感とその対処】【

    統合失調症
    と知って生じる新たな疑問】、環境要因として【治療】【家族のサポート】【他者との関係】【制度・社会資源】の4つのカテゴリーが見いだされた。帰結は【生き方の定まり】【対人交流への自信の獲得】【社会の中で新たな役割を見出す】、【自己実現・自己決定】【医療への期待】【新たな居場所を見出す】の6つのカテゴリーが抽出された。

    結論:

    統合失調症
    者の病いとの「折り合い」の概念は「自分らしく生きる」であった。しかし、
    統合失調症
    者は、偏見をはじめとする病いの体験に苦しんでいた.
    統合失調症
    者は、病いによって自信を失いながらもその中で体験したことを糧に,病いを得る前とは違った自己になることを経験しつつ、【自分らしく生きる】ことを選び取っていた。当事者が病いを受け入れ、共存できるような援助と自己を肯定的に捉えられるようなケアの構築の必要性が明確になった。

  • 榎木 宏之
    九州神経精神医学
    2019年 65 巻 1 号 26-32
    発行日: 2019/04/15
    公開日: 2020/10/05
    ジャーナル フリー

     本研究では,精神科急性期病棟で実施した心理教育プログラム受講者の理解度の実施前後での変化の程度が,退院後の外来通院期間に及ぼす影響を検討し,長期的な外来通院のために必要な,疾病及び薬物に関する知識の特徴を明らかにすることを目的とする。精神科急性期病棟入院中に心理教育プログラムを受講した統合失調患者116人を,退院後の外来通院期間6ヶ月未満群(n=17)及び外来通院期間6ヶ月以上群(n=99)の2群に分け,属性及び,KIDI合計及び各項目についてt検定および二項ロジスティック回帰分析(強制投入法)を行った。その結果,「薬物項目群」「抗精神病薬の長期連用について」「薬物療法と社会的治癒について」におけるプログラム前後での変化量が半年以上の通院を予測する因子として認められた。そのため,より長期的な外来通院のためには,入院中の段階で抗精神病薬への適切な理解に加えて,薬を服用していても社会復帰が可能であるという理解が得られるような働きかけが重要であることが示唆された。

  • 堀之内 豊, 橘 俊哉, 森山 徳秀, 岡田 文明, 井上 真一, 吉矢 晋一
    中部日本整形外科災害外科学会雑誌
    2012年 55 巻 4 号 841-842
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/02
    ジャーナル 認証あり
  • 小野沢 基太郎, 金子 裕之, 高橋 真和, 矢野 尚, 阿部 廣幸
    小児口腔外科
    2007年 17 巻 2 号 113-116
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    Schizophrenia is one of the most important diseases in the psychiatric field, however childhood onset is rare in schizophrenia. In this report, we describe a case of multiple traumas in a 13-years-old female with schizophrenia. She jumped from a sixth-floor window, and then was taken to our emergency center in an ambulance on December _??_, 1999. She had a medical history of emotional disorder. At the initial medical examination, she said that an alien had ordered her to jump from the window.
    Radiographic examination showed bilateral pubic and ischial bone fractures of the pelvis, the greater trochanter and the neck of the left femur. Oral examination demonstrated fractured teeth and gingival bleeding on the mandible. Fractured teeth were from the lower first incisor on the left side to the contralateral lower first premolar, and accompanied with alveolar bone fractures. Head x-ray examination showed fractures of the median mandibular body and angle on the left side. However, occlusion was stable and there was no deviation of the mandibular fragments. Thereafter hemorrhagic shock developed, and the systolic blood pressure ranged from 35 to 45mmHg because of bleeding from the internal iliac artery on the left side. Then she underwent embolization of the artery. Airway intubation to control respiration was performed by a transnasal approach because of her maxillofacial injuries. Thereafter, we extracted the fractured teeth and performed alveoloplasty. The mandibular fractures were treated by external fixation for 2 weeks. The prognosis was good after fixation. Her general condition recovered, and she was diagnosed as having schizophrenia by a psychiatrist at our center. It is considered that dentists should participate in the emergency care of patients with multiple traumas including maxillofacial traumas, and cooperate with other departments.
  • 加藤 敏
    日本生物学的精神医学会誌
    2012年 23 巻 1 号 53-59
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    1964年進化生物学者のHuxleyらが初めて,
    統合失調症
    発症にかかわる遺伝子には「遺伝的モルフィスム」(genetic morphism)が含まれ,
    統合失調症
    は進化異常(evolutionary anomaly)であるという見解を出した。この考え方を発展する形で,Crowは,ヒトの種に成功をもたらした言語ゆえに,ヒトは
    統合失調症
    発症という代償を強いられたと考える。Crespiらは,
    統合失調症
    の重要な感受性遺伝子がヒトの進化に関わる遺伝子であることを明らかにした。この種の研究は,人間の進化に関する遺伝子解析を考慮のうちに入れる形で,
    統合失調症
    の生物学的解明を行うことを試みるもので,生物学的精神医学における今後の
    統合失調症
    の病態解明に重要な展望を拓くといえる。
    統合失調症
    の有病率が地域,民族で必ずしも均一ではないという最近の疫学知見は,遺伝子レベルでは
    統合失調症
    感受性遺伝子の集積性に種々の変異があることを示唆する一方,
    統合失調症
    の顕在発症を考える上では,社会・文化環境の要因も重要であることの傍証となる。
  • 今村 弥生
    日本プライマリ・ケア連合学会誌
    2013年 36 巻 1 号 47-49
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/02
    ジャーナル フリー
    要 旨
     精神科治療における面接は, 対話を通してクライアント自身の問題を見つめるための「鏡」であるとも言える. この鏡を作り出すのが治療者の役割で, 「鏡」が曇っていたり, 歪んでいては, 正しく状態を映し出すことができず, 適切な治療を行うことができないため治療者が自分自身の鏡を調整することが重要なことは, 自明なことである. 本稿では筆者が有用性を実感し, 同業の精神科医にすすめている省察の具体的な方法を論じる.
  • 森 千鶴, 菅谷 智一, 菅原 裕美
    日本健康科学学会誌
    2021年 37 巻 4 号 161-170
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/07/06
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症
    者が自己実現を目指し自己価値を高めることはリカバリーの観点から重要である。本研究では
    統合失調症
    者自身が自分のことをどのようにとらえているか測定する「
    統合失調症
    者の自己概念測定尺度」を作成することを目的とした。
    統合失調症
    者へのインタビューや先行文献を参考に作成した試案について、
    統合失調症
    者270 名の回答に対して探索的因子分析、確証的因子分析を行った。その結果、【ストレングスの自覚】、【将来のイメージ】、【病気であったことの自覚】、【不安定の自覚】、【受け入れがたい病気】の 5 下位尺度22 項目で構成される
    統合失調症
    者の自己概念測定尺度の信頼性と妥当性が確認され、臨床での活用可能性が示唆された。
  • ――精神科入院患者に対する心理教育的アプローチ――
    田坂 智加, 大宮 秀淑
    こころの健康
    2014年 29 巻 2 号 70-73
    発行日: 2014年
    公開日: 2024/11/19
    ジャーナル フリー
  • 作業療法士の役割について
    山﨑 幸子, 松尾 夏奈, 佐藤 郁, 堀井 麻千子, 本村 啓介, 神庭 重信
    九州神経精神医学
    2017年 63 巻 1 号 22-29
    発行日: 2017/04/15
    公開日: 2020/03/26
    ジャーナル フリー

     近年,

    統合失調症
    患者の支援を病院から地域へと移行するよう求められている。しかし,疾患の症状によって支援者との信頼関係の形成が妨げられているような患者では,地域移行支援は容易ではない。今回われわれは,個人作業療法を行ったことが,多職種チームによる地域移行支援につながった治療抵抗性
    統合失調症
    の一症例を経験したのでここに報告する。患者は緊張型の
    統合失調症
    であり,急性期にみられた激しい拒絶や昏迷はクロザピン投与により消退したが,慢性期には無為が目立ち,生活への介入を拒む傾向が続いていた。個人作業療法の場で,退院とは一見関係のない活動を共にすることで作業療法士と信頼関係を築くことができ,その場を利用して,活動の内容を広げたり,支援者を増やしたりしていき,自宅に退院できた。支援の経過を振り返り,治療抵抗性
    統合失調症
    患者の退院支援において作業療法士が果たしうる役割について考察した。

  • 鈴木 道雄
    富山大学医学会誌
    2008年 18 巻 1 号 21-24
    発行日: 2008年
    公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー
     
    統合失調症
    は思春期から成年早期に好発し,約120人に1人が罹患する疾患であり,慢性化した場合は健全な社会生活が困難となることが多い。
    統合失調症
    の病因を明らかにし,より有効な治療法を確立することは,精神医学におけるもっとも重要な課題のひとつである。磁気共鳴画像(MRI)を用いて,脳形態の観点から,
    統合失調症
    の発症機序を明らかにしようとする研究と,MRIによる
    統合失調症
    の客観的な補助診断法を開発する試みの概略を述べた。また,
    統合失調症
    の早期診断・早期治療を推進するために行っている「こころのリスク相談」および「こころのリスク外来」について紹介した。さらに
    統合失調症
    の長期予後を改善するために,脳形態などの神経生物学的変化を改善する治療法の可能性について述べた。
  • 鬼塚 俊明, 大林 長二, 角田 智哉, 平野 昭吾, 平野 羊嗣, 前川 敏彦, 上野 雄文
    認知神経科学
    2011年 13 巻 1 号 64-70
    発行日: 2011年
    公開日: 2017/04/12
    ジャーナル フリー
    最近の神経生理学的研究によって、
    統合失調症
    者には比較的早期の聴覚・視覚処理過程に障害があることが明らかになってきた。社会生活上、ヒトの顔から得られる情報は大切であり、本稿では
    統合失調症
    の社会機能障害と顔認知障害の関連について考察した。まず、
    統合失調症者の統合失調症
    者の顔認知障害、顔に対するN170、紡錘状回の構造異常についての所見をレビューし、更に顔に対するN170 振幅減少と社会機能障害の関連を紹介した。神経心理的顔認知研究では、顔を記憶する課題で
    統合失調症
    者はその遂行率が低下しており、表情認知課題の成績が悪い被験者はより社会生活機能が障害されていることが示唆されている。また、
    統合失調症
    者の表情認知課題成績低下のエフェクトサイズは-0.85 で他の認知課題成績低下のエフェクトサイズは-0.7 であったという。神経生理学的研究では、
    統合失調症
    者には早期視覚処理の段階から顔認知障害があり、N170 調整機構の障害の存在が示唆されている。また、我々は
    統合失調症
    において、顔に対するN170 減少がGAF スコアの重症度と関連することを報告した。素因・環境因の両方が関与していると思われるが、
    統合失調症
    の社会機能低下の基盤には紡錘状回の構造・機能異常が関与していることが強く示唆される。
  • 宮川 剛, 山崎 信幸
    日本薬理学雑誌
    2005年 126 巻 3 号 189-193
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/11/01
    ジャーナル フリー
    著者は,遺伝子改変マウスに対して網羅的行動テストバッテリーを行うことで,脳に発現する遺伝子の行動レベルでの機能についての研究を行ってきた.近年,マサチューセッツ工科大学の利根川らとの共同研究によって,前脳特異的カルシニューリン(CN)ノックアウトマウスが
    統合失調症
    様の表現型異常を示すこと,また
    統合失調症
    患者のDNAを用いた関連解析からカルシニューリンAのγサブユニットの遺伝子,PPP3CCの特定のハプロタイプが
    統合失調症
    と関連を示すことから,脱リン酸化酵素のカルシニューリンが
    統合失調症
    の感受性遺伝子であろうことを報告した.この知見に基づき著者らは,
    統合失調症
    の発症にCNが関与するシグナル伝達経路の異常が関わっているとする「
    統合失調症
    のカルシニューリン仮説」を提唱している.ここでは,宮川らが報告した前脳特異的CNノックアウト(CN-KO)マウスの
    統合失調症様の表現型異常を中心に統合失調症
    とCNとの関連について解説する.このマウスでは,不安様行動も顕著に亢進しており,環境の変化に弱いなど,ストレスに対する感受性も亢進していると考えられるが,精神疾患のストレス脆弱性仮説との関連についても議論する.
  • 渡辺 恒夫
    こころの科学とエピステモロジー
    2024年 6 巻 1 号 41-44
    発行日: 2024/05/15
    公開日: 2024/05/15
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 浜田 芳人
    月刊地域医学
    2021年 35 巻 5 号 24-
    発行日: 2021/05/10
    公開日: 2024/02/09
    解説誌・一般情報誌 フリー
  • 稲田 健, 石郷岡 純
    ファルマシア
    2016年 52 巻 10 号 917-919
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/01
    ジャーナル フリー
    日本の
    統合失調症
    領域において、公益財団法人日本医療機能評価機構Minds(マインズ)ガイドラインセンターに選定されたガイドラインはこれまで存在しなった。そこで、日本神経精神薬理学会は、Mindsの選定を受けうるに足る、エビデンスに基づいた
    統合失調症
    の薬物治療ガイドラインを作成した。
    統合失調症
    の治療は包括的に行われるべきであり、将来包括的ガイドラインが作成される際には、その一部となるものと考えている。
  • 細井 匠, 小枩 武陛, 石橋 雄介
    理学療法学
    2020年 47 巻 4 号 354-362
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/20
    [早期公開] 公開日: 2020/05/27
    ジャーナル フリー

    【目的】我が国の

    統合失調症
    患者に対する運動介入の効果に関して,身体機能の向上,精神症状の改善,ADL の向上,これら3 点についてこれまでの知見を検証すること。【方法】4 種類の電子データベースを用いて,2017 年までの全年代を対象に複数の検索式で検索した。検索結果を統合し,2 回のスクリーニングを実施して採択文献を決定した。【結果】38 編が対象となり,身体機能の向上について記述した30 編,精神症状の改善について記述した24 編,ADL の改善について記述した9 編の内容を検討した。【結論】対応の工夫や精神科治療と併用する必要はあるが,運動介入は
    統合失調症
    患者の身体機能の向上,精神症状の改善,ADL の向上に寄与し得ることが示唆された。

  • 前川 素子
    日本薬理学雑誌
    2023年 158 巻 3 号 238-241
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    [早期公開] 公開日: 2023/03/29
    ジャーナル フリー

    統合失調症
    については,ゲノムワイド関連解析やエクソーム解析の結果などから,シナプス関連遺伝子がリスク遺伝子として複数同定されている.また,死後脳の組織学的研究から,
    統合失調症
    では大脳皮質の錐体細胞樹状突起スパイン(神経細胞樹状突起にある棘状の構造でシナプス後部を形成する)密度の低下が報告されている.これらの背景から,シナプス機能不全が
    統合失調症
    のリスク形成に関わることが考えられている.一方,著者らはこれまで,脂肪酸を内因性リガンドとする核内受容体「peroxisome proliferator-activated receptor α(PPARα)」と
    統合失調症
    病態メカニズム形成の関連に注目して解析を行ってきた.著者らは,
    統合失調症
    患者において「稀ではあるが機能的変化につながる」PPARA遺伝子(PPARαをコードする)変異が存在することを明らかにした.また,Pparaノックアウトマウスは,
    統合失調症
    様の行動変化を示すとともに,脳内でシナプス関連遺伝子の発現変化が起きること,大脳皮質前頭前野においてスパイン密度の低下が起きることを見いだした.これらの結果は,PPARαの機能低下が脳内のシナプス機能低下を介して
    統合失調症
    のリスク形成につながる可能性を示している.筆者らは,核内受容体PPARαの機能低下が
    統合失調症
    病態形成に関わるとすれば,人為的に核内受容体PPARαの機能を活性化することができれば
    統合失調症
    の治療に役立つのではないかと考えて,核内受容体PPARαを分子標的とした
    統合失調症
    の治療薬開発を検討している.

  • *土屋 賢治
    日本毒性学会学術年会
    2022年 49.1 巻 S20-3
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/25
    会議録・要旨集 フリー

    自閉スペクトラム症(以下ASD)とは,小児期早期に顕在化する精神神経疾患の一つである。過去30年にわたり,ASDの有病率が世界的に上昇を続けている。

    統合失調症
    とは,青年期~成人期早期に顕在化する精神神経疾患の一つである。1960年代以降,
    統合失調症
    の罹患率が低下している。

    精神医学の分類学では,発症時期や症状の違いに基づき別箇の疾患として扱われているASDと

    統合失調症
    であるが,臨床的な関連があることも知られている。すなわち,ASD児・者が
    統合失調症
    を発症するリスクは一般より高く,
    統合失調症
    者がASDを示唆する病歴を小児期にもつ可能性も高い。ASDの原型となる「自閉症」の疾患概念が生まれたのは1940年代にさかのぼるが,当時は,
    統合失調症
    の小児発症亜型であると考えられていた。社会機能の障害にもとづく日常生活の困難が見られ,長期の経過をたどるという点で,共通性が見られたからである。

    疫学的知見と臨床精神医学の知見を突き合わせると,ASDと

    統合失調症
    が生物学的基盤を共有する可能性を指摘できる。また,時代に伴う疫学指標(ASDの有病率,
    統合失調症
    の罹患率)の変化の意味するところが気になる。ここにさまざまな科学的関心が生まれるのも理解できる。

    以上の理解を受けて,これまでに議論されたことのある,ASDと

    統合失調症
    が共軛する仮説的病態モデルをいくつか提示し,今後の研究の発展性について議論する。

  • 高橋 英彦
    認知神経科学
    2008年 10 巻 1 号 19-22
    発行日: 2008年
    公開日: 2011/07/05
    ジャーナル フリー
    【要旨】
    統合失調症
    の脳体積研究で、上側頭回と扁桃体を含む内側側頭葉はもっとも体積減少が認められる部位とされる。fMRIを用いて
    統合失調症
    におけるこれらの部位の機能異常を検討した。我々は、患者において不快な写真に対する右扁桃体の低活動を報告した。右の扁桃体は、瞬時の自動的な情報処理にかかわっているとされ、外的刺激に対するとっさの処理の障害を示唆すると考えられた。
    統合失調症
    の言語に関する研究は広くなされているが、
    統合失調症
    にはヒトの声の認知にも障害があるとされ、我々は
    統合失調症
    の声の認知時にヒトの声認知に関わる右の上側頭回の低賦活が見出し、言語理解だけでなく、ヒトの声に対する脳内処理の障害が示唆された。
  • 力武 祐子, 細井 匠, 山下 久実, 林 香奈
    理学療法学Supplement
    2010年 2009 巻 P3-212
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/25
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】当院は精神科210床、内科98床を有する施設である。精神科病棟では、入院患者の約8割が
    統合失調症
    の患者であるが、近年、長期入院に伴う
    統合失調症
    患者の高齢化および転倒が問題となっている。そのため、疾患別の理学療法介入だけではなく、各病棟で1週間に2回、転倒予防目的で集団体操を実施している。集団体操は理学療法士1名が頚部、上肢のストレッチ、下肢の筋力トレーニング、バランス練習を中心に30分間実施している。集団体操を行う中で、
    統合失調症
    患者の、特に上肢の模倣動作を遂行する場面において、動作の模倣が困難な場面を見かけることが多々ある。
    統合失調症
    患者は、元々注意の容量の少なさや情報処理能力が低下しているなどの特徴を持つことが指摘されている。身体疾患の発症により理学療法が介入する事例が増加する中で、模倣動作が苦手で運動療法が困難な患者も多い。一方、内科病棟に入院している認知症患者では、模倣動作を行う上で遂行困難な場面は少なく感じられる。今回、認知症患者は認知機能の低下とともに模倣動作能力も低下するのに対して、
    統合失調症
    患者は認知機能が保たれていても模倣動作が苦手であると仮説を立て、
    統合失調症
    患者と認知症患者で、認知機能の低下と模倣動作能力の低下との関係性に違いがあるかどうかを検討することを目的に調査を行った。

    【方法】対象は、当院の精神科病棟に入院している
    統合失調症
    患者で、脳血管障害や精神発達遅滞の既往がない20名(M3名、F17名、平均年齢73.3歳)と、内科病棟・精神科病棟に入院している脳血管障害の既往がない認知症患者14名(M2名、F12名、平均年齢83.2歳)である。方法は、認知機能の検査として改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、模倣動作能力の検査として、標準高次動作性検査の中から選別した顔面動作、上肢慣習的動作、上肢手指構成模倣、上肢客体のない動作の10項目を行った。完全に模倣を0点、拙劣あるいは修正により可能を1点、不可を2点とし、0~20点で評価した。

    【説明と同意】検査を実施するにあたり、協力をして頂いた
    統合失調症
    患者20名と、認知症患者14名には検査内容を説明し同意を得た上で実施した。

    【結果】
    統合失調症
    患者のHDS-Rの結果は平均15.7点、模倣検査の結果は平均5.9点であった。認知症患者のHDS-Rの結果は平均10.5点、模倣検査の結果は6.4点であった。両群で相関関係を求めた結果、
    統合失調症
    患者の相関係数は0.66、認知症患者の相関係数は0.65であり、両群ともに認知機能と模倣動作の間に相関関係が認められた。回帰関数の検定では、
    統合失調症
    患者はp=0.001、認知症患者はp=0.011となり、有意な結果が得られた(p<0.05)。また、
    統合失調症
    患者と認知症患者の両群の回帰係数の比較を線形回帰分析を用いて検定した結果、有意差は見られなかった(p<0.05)。

    【考察】
    統合失調症
    患者の模倣動作能力の低下を検討するために、認知症患者と比較しHDS-Rと模倣検査を実施した。臨床場面では、
    統合失調症
    患者は認知症患者に比べ模倣が苦手であると感じていたが、両群の間に有意な回帰係数の差は見られなかった。この結果から、
    統合失調症
    患者に運動療法を実施する上で、認知機能に即した模倣は可能であり、十分な効果を得ることが出来ると思われる。しかし、両群の回帰係数に有意差はないものの、
    統合失調症
    患者の回帰グラフの方が直線の傾きは緩やかであった。つまり、
    統合失調症
    患者の方が、認知機能と模倣動作能力のばらつきが大きい可能性がある。今回の研究では対象者の数が少なかったため、両群の間に有意差は得られなかったが、対象者の数を増やすことで仮説を支持する結果が得られる可能性がある。今後は、運動療法を継続することで模倣動作能力が向上するのかなどを検討するべきであり、対象者を増やして調査を継続したい。また、
    統合失調症
    患者の脳のX線CT(CT)やmagnetic resonance imaging(MRI)による検討では、側脳室の拡大、第3脳室の拡大、脳溝の拡大などが報告されており、なかでも側脳室の下角の拡大などが一致した所見である。脳実質の計測では、側頭葉に異常所見が多く認められ、特に内側部の海馬、扁桃体、海馬傍回の体積減少などが報告されている。これらの報告から、
    統合失調症
    患者の脳の形態学的な異常と模倣動作能力の低下に何らかの関連性があるのか、今後検討する必要があると考えられる。

    【理学療法学研究としての意義】
    統合失調症
    患者と認知症患者の認知機能と模倣動作能力を比較し、両群に差がないことから、現時点では
    統合失調症
    患者に運動療法を実施する上で、
    統合失調症
    の影響による模倣の困難さが阻害因子となる可能性は否定された。
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