1976年1月より12月までの1年間に東京女子医大糖尿病センターを受診した糖尿病患者1,629名について, 4年間prospective foUow-upstudyを行い, 糖尿病患者の
肥満度
と死亡率, 死因との関係について検討した。登録4年後の追跡成績は, 生存者1,486名, 死亡者140名, 生死不明者3名で, 生死に関する追跡率は99.8%であった. 登録時
肥満度
90%未満群, 90~109%群, 110~129%群, 130%以上群の4年間の累積死亡率は, それぞれ11.8%, 8.7%, 7, 4%, 3.6%で,
肥満度
の高いほど死亡率が低かった. 一方, 登録時までの最大
肥満度
90%未満群, 90~109%群, 110~129%群, 130%以上群の累積死亡率は, それぞれ18.2%, 6.0%, 7.4%, 11.1%であり, 90~109%群の死亡率が最も低かった. 登録時における網膜症, 蛋白尿の有無により4つのグループに分け, 各グループ別に登録時
肥満度
と死亡率との関係をみたが, いずれのグループにおいても
肥満度
の高いほど死亡率が低かった. 登録時
肥満度
と死因との関係をみると,
肥満度
130%以上群を除いた各群とも悪性新生物による死亡が最も多く,
肥満度
が高くなるほど, 腎症, 感染症, 肝硬変症による死亡の割合が減少し, 虚血性心疾患, 脳血管障害による死亡の割合が増加した. 登録時までの最大
肥満度
と死因との関係では, 90%未満群で腎症, 虚血性心疾患, 脳血管障害による死亡がなく, 110%以上の各群では
肥満度
による死因の特徴がなかった.
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