1型糖尿病は,若年発症,インスリン注射の必要性,少数派ゆえの周囲の無理解など,病気に関する負担は大きく,心理社会的問題の頻度は高く概して重篤である.1994年以降に当科を受診した,心理社会的問題を抱えた1型糖尿病患者約250名のうち,実に約7割が摂食障害を併発していた.若い1型糖尿病女性の約1割に摂食障害が併発しているといわれており,血糖コントロールの著しい悪化,糖尿病合併症の早期の発症・進展など医学的な問題も大きい.一方,インスリン注射の不適切な使用などによる
自己破壊的行動
は,1型糖尿病におけるもう一つの重大な問題である.本稿では,これらの2つの問題を中心に,その病態と治療・対策について述べた.
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