(序論) 培養表皮の色調を任意に調節する方法,技術について基礎検討を行った。
(方法) ヒト正常
色素細胞
,ならびに表皮細胞培養中にEndothelin-1(ET-1),ProstaglandinF2α(PGF2α)を添加し,DOPA染色による細胞の着色の変化およびTyrosinase活性を測定し,
色素細胞
特有の遺伝子発現をReal-time PCRで測定した。正常皮膚を酵素処理し得られた細胞浮遊液から,
色素細胞
の単離培養法の検討と,培養表皮の作製を行った。
色素細胞
の単離は試薬を用い表皮細胞と線維芽細胞を除去する方法,F12改変培地で選択的に
色素細胞
を培養する方法とで検討した。また表皮細胞と
色素細胞
とを共培養し,色調調整した培養表皮シートを作製した。
(結果) ヒト正常
色素細胞
にET-1,PGF2αを添加すると,細胞レベルで着色が亢進した。ET-1はTYR遺伝子発現を増加させ,PGF2αは抑制させた。ET-1,PGF2αを添加した培養表皮シートではTyrosinase活性の増強は認めたが
色素細胞
数に有意な差を認めなかった。F12改変培地を用いて選択的に
色素細胞
を培養できた。培養表皮の継代時に単離した
色素細胞
を加え培養を継続したところ,色調調整した培養表皮シートが作製できた。
(考察) 色調調節可能な培養表皮シートの実現は,採皮部位の制限を無くし,採皮面積を小さくし,よりカラーマッチのすぐれた治療を提供できる可能性がある。
(結語) 正常皮膚から
色素細胞
を単離培養し,さらに表皮細胞と共培養する技術を確立した。色素合成促進剤を組み合わせ,自在に色調を調節できる可能性が示唆された。
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