本研究の目的は、
落語家
の師弟関係の系譜に対して、ネットワーク分析を適用することで、職業
落語家
が出現して以降の約230年に渡り続いてきた落語の師弟関係ネットワーク(i.e.,
落語家
ネットワーク)の特徴を定量的に明らかにすることであった。古今東西
落語家
系図を基礎資料としてネットワーク分析を行った結果、
落語家
ネットワークは平均次数2.00を示す木構造であり、かつ、スケールフリー性を有することが明らかになった。この結果から、新たな入門者が弟子になって
落語家
ネットワークが拡大する際に、優先的選択(Barabasi & Albert, 1999)というメカニズムが関与する可能性が示唆された。また平均次数が2.00であることからは、この状況が続けば、落語ネットワークが頂点(
落語家
)数を維持しながら、拡大し続けることが示唆された。最後に、今後の研究の展望として、
落語家
ネットワークをテンポラル・ネットワークとして分析する重要性について議論した。
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