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クエリ検索: "薏苡仁湯"
26件中 1-20の結果を表示しています
  • 太田 博孝
    日本東洋医学雑誌
    2019年 70 巻 3 号 273-277
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/05
    ジャーナル フリー

    症例は38歳の女性。受診10ヵ月前より両手指関節の強い痛みとしびれを自覚した。挙児希望があり漢方治療を求め,当科を受診した。検査では抗 CCP 抗体等が陽性で, ACR/EULAR スコアは8点となり関節リウマチ(RA)と確定された。治療は桂枝加朮附湯加味方より開始し,一時手指関節痛は軽減したものの再度増悪し,治療4ヵ月目に

    薏苡仁湯
    加味方に変方し,さらに防已黄耆湯を追加合方した。同2剤併用2ヵ月後から,手指関節痛は劇的に消失し,完全寛解状態となった。
    薏苡仁湯
    は,四肢の関節や筋肉が冷え,痛く痺れる状態に,防已黄耆湯は,気虚風湿,乃ち浮腫傾向で関節の腫脹や疼痛のある例に用いられる。両剤の構成生薬には鎮痛,止痙,利水や抗炎症作用を有する生薬が多い。両方剤の併用療法は,利水を促進し局所の炎症を鎮め関節痛や筋疼痛を強力に緩和すると考えられる。本療法は RA 治療の有力な選択肢の一つになりうると考えられた。

  • 谷口 大吾, 生駒 和也, 牧 昌弘, 城戸 優充, 原 佑輔, 大橋 鈴世
    日本東洋医学雑誌
    2021年 72 巻 2 号 153-158
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/07/29
    ジャーナル フリー

    足底腱膜炎患者を対象に未治療例5例,他院での治療歴のある難治例で,西洋医学的治療のみ行った15例(非漢方群),難治例で西洋医学的治療に加えて漢方治療を行った15例(漢方群)について治療内容と効果を検討した。3 群で年齢と初診時疼痛 VAS に差はなかった。未治療例は従来の西洋治療で軽快し,治療期間も短かった。漢方群は当科での初期治療が効果不十分な症例に対して治療開始3ヵ月ごろから漢方薬を開始していることが多かった。 このため漢方群はより難治な症例が多く,最終観察時疼痛 VAS が不良で,治療期間も長かった。漢方治療はすべてエキス剤の内服で,有効例は4例,

    薏苡仁湯
    と通導散の併用が2例,
    薏苡仁湯
    単独が1例,
    薏苡仁湯
    ,通導散および桂枝茯苓丸加薏苡仁の併用が1例であった。疎経活血湯は3例に使用し無効であった。この結果から難治性足底腱膜炎は風寒湿,血虚に加えて気滞,瘀血の病態を呈していると推察された。

  • 中島 啓次, 藤田 正
    日本東洋医学雑誌
    2020年 71 巻 3 号 213-218
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/28
    ジャーナル フリー

    我々は過去1年間に慢性坐骨神経痛患者に対して麻杏薏甘湯加味方(麻杏薏甘湯エキス剤7.5g+桂皮末1g+附子末0.5g~1.5g)を投与した14症例を検討した。その下肢痛を Numerical Rating Scale で評価した。有効症例は男性6例,女性5例の11例(79%)で平均年齢は69歳。無効症例は男性2例,女性1例の3例(21%)で平均年齢77歳であった。9例は麻杏薏甘湯加味方を処方する前にプレガバリンを投与されていたが無効であった。そのうち7例は麻杏薏甘湯加味方の方が有効であった。さらに有効症例11例中10例は1年間以上にわたり経過を観察することができた。1例は汗の副作用で中止したが,2例は麻杏薏甘湯加味方を中止しても完治した。2例は引き続き副作用なく服薬中である。5例は途中,麻杏薏甘湯を

    薏苡仁湯
    に変え,麻杏薏甘湯加桂皮附子にしたが,その効果に明らかな差は認められなかった。

  • 林 伸和, 川端 康浩
    日本臨床皮膚科医会雑誌
    2018年 35 巻 1 号 63-67
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/27
    ジャーナル フリー
     イボにヨクイニンを奨める広告を見て,脂漏性角化症(老人性疣贅)にヨクイニンの処方を希望して皮膚科を受診する患者が少なくない.そこで,ヨクイニンの脂漏例角化症に対する有効性を文献的に検討した. 【方法】医薬品医療機器総合機構のホームページで一般用を含むヨクイニンに関係する医薬品の添付文書の適応症を確認し,医学中央雑誌とPubMedを用いて,脂漏性角化症に関連するヨクイニンの論文を検索し,該当した論文を精査した. 【結果】ヨクイニンを配合する医療用医薬品は36品目あり,そのうちヨクイニンエキスの2品目は尋常性疣贅と青年性扁平疣贅に適応があり,麻杏よく甘湯エキスはイボを適応症としていた.一般用医薬品・要指導医薬品には,ヨクイニンを主成分とする製剤(狭義のヨクイニン)が7品目,せんじ薬である薏苡仁煎が1品目あり,狭義のヨクイニンの適応症は「いぼ,皮膚のあれ」,薏苡仁煎では,「いぼ,皮膚のあれ,利尿,関節痛」となっていた.医学中央雑誌を用いた検索では,「ヨクイニン」で453,「ヨクイニン」と「いぼ」の組合せで113の論文が抽出され,「ヨクイニン」と,「老人性疣贅」もしくは「脂漏性角化症」で3つの論文が該当したが,いずれもヨクイニンの脂漏性角化症への有効性を述べたものではなかった.また,PubMedではヨクイニンで6論文があるが,脂漏性角化症に関係するものはなかった. 【結論】ヨクイニンに脂漏性角化症の適応はなく,有効性を述べた論文はなかった.一般用医薬品などでは平易な病名にするため「いぼ」と表現しているが,ヨクイニンの適応疾患として老人性疣贅は含まれず,ウイルス性疣贅のみを指すと考えられる.患者の誤解をなくすため,適切な啓発活動が必要である.
  • 松村 久男, 飯田 美奈子, 鈴木 友也, 初谷 健太郎, 小笠原 健人, 吉田 拓海, 栗田 拓朗, 藤掛 佳男, 中島 孝則, 松田 佳和
    薬局薬学
    2020年 12 巻 1 号 39-45
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/27
    [早期公開] 公開日: 2020/01/27
    ジャーナル フリー

    粉砕法や簡易懸濁法に代わる新しい経管投与方法の開発を目指し,卓上の軟膏調剤・製剤機(自転・公転ミキサー)を内用固形製剤の懸濁(以下,自転公転懸濁法)に応用した.常水(温度24±1℃)20 mL の中に錠剤を投入し自転公転懸濁すると,内用固形製剤の多数は5分以内で崩壊懸濁化と経管栄養チューブ通過を認めた.しかしカプセルは通過できなかった.自転公転懸濁による薬剤安定性への影響が懸念されることから,メバロチン® 錠10 の主薬を定量した.その結果,主薬のプラバスタチンナトリウム含量に著しい低下は認められなかった.以上のことから,自転公転懸濁法は常水(温度24±1℃)中でも錠剤を崩壊懸濁および経管栄養チューブ通過をさせる懸濁法の一つであると考えられる.

  • 田原 三枝
    産婦人科の進歩
    2020年 72 巻 1 号 53
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/07/12
    ジャーナル 認証あり
  • 前田 ひろみ, 伊藤 ゆい, 吉永 亮, 土倉 潤一郎, 上田 晃三, 井上 博喜, 矢野 博美, 犬塚 央, 山口 昌俊, 藤野 昭宏, 田原 英一
    日本東洋医学雑誌
    2015年 66 巻 3 号 218-222
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/05
    ジャーナル フリー
    ばね指は,手のA1輪状靭帯の部位に狭窄を生じ円滑な指屈伸動作が阻害されることにより発症し,西洋医学的には消炎鎮痛剤,ステロイド剤注入,手術等で治療される。今回温経湯が奏効したばね指の3症例を報告する。症例1は71歳女性。腹部膨満感に対して漢方治療中に右第3指のばね指を発症し,口唇乾燥と手足のほてりを認めた。 症例2は56歳女性。手指の多関節痛に対して漢方治療中に左第4指のばね指を発症し,手のほてりを認めた。症例3は71歳女性。慢性腎不全で加療中に,左第1指のばね指を発症した。手のほてりや口唇乾燥を認めなかったが,皮膚の枯燥感を認めた。温経湯は,手掌煩熱や口唇乾燥を使用目標としており,補血・駆瘀血作用や抗炎症作用,滋潤作用を有する生薬で構成されている。温経湯のこれらの作用が,ばね指改善に寄与した可能性がある。
  • 松村 久男, 飯田 美奈子, 小笠原 健人, 吉田 拓海, 赤池 聡一郎, 栗田 拓朗, 藤掛 佳男, 中島 孝則, 鈴木 勝宏
    薬局薬学
    2020年 12 巻 2 号 122-128
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/26
    [早期公開] 公開日: 2020/07/14
    ジャーナル フリー

    粉砕法や簡易懸濁法とは異なる新しい経管投与方法として,試験管ミキサーによる内用固形製剤の懸濁法(以下,ボルテックス攪拌懸濁法)を開発した.24±1℃の常水 20 mL 中でボルテックス攪拌懸濁法を行うと,多くの内用固形製剤は 5 分以内で崩壊懸濁し,8 Fr. 経管栄養チューブ(以下,チューブ)を通過した.簡易懸濁法の適用には,フィルムコーティングの破壊が必要とされる錠剤について,フィルムコーティング錠のままでボルテックス攪拌懸濁法を行ったところ,崩壊懸濁しチューブを通過した.カプセル剤は,24±1℃の条件ではチューブを通過しなかった.以上のことから,ボルテックス攪拌懸濁法は 24±1℃の常水中でもカプセル剤を除く内用固形製剤を崩壊懸濁し,チューブ通過をさせることができ,特に,フィルムコーティング錠において,有用性の高い懸濁方法であると考えられる.

  • —支節煩疼と心下支結についての古典的考察を含めて—
    大谷 かほり, 木村 容子, 伊藤 隆
    日本東洋医学雑誌
    2018年 69 巻 2 号 168-172
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/08
    ジャーナル フリー

    体のほてりを伴う不眠に,柴胡桂枝湯が有効であった3症例を経験した。症例1は50歳男性で体幹と手足のほてりを伴い,症例2は57歳女性で背中を中心としたほてりの他,手指の変形性関節症があり,いずれも手足の症状が支節煩疼の応用と考えられた。症例3は別の57歳女性でのぼせと体のほてりを訴え,支節煩疼の所見は明らかではなかったが,過去に腕の発疹を繰り返す症状があった。ほてりと寒気の繰り返しは憎寒壮熱の応用と考えられ,全例に胸脇苦満を認めたが,心下支結に相当する所見は症例1が心下痞鞕と腹直筋の緊張,症例2が中脘の凝り,症例3が軽い心下痞鞕と全て異なっていた。いずれの所見も古典に同様所見の記載があり,柴胡桂枝湯の腹候は複数ある事が窺われた。更年期世代,四肢末端の冷えがない,中間証からやや虚証,ほてるが冷やすと寒いという共通点もあり,このような症例では,柴胡桂枝湯は男女問わず鑑別処方の1つになり得る。

  • 大塚 稔
    日本東洋医学雑誌
    2021年 72 巻 3 号 239-243
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/12
    ジャーナル フリー

    桂枝加朮附湯を用いて,手部の炎症性や疼痛性疾患の治療に良好な結果を得ている報告は多い。これらを参考に,整形外科外来診療において,桂枝加朮附湯による DIP 関節の変形腫脹(ヘバーデン結節)や疼痛治療を行った16例を基にして,桂枝加朮附湯による手指関節痛治療の有用性について検討した。症例は16例全例が女性であり,年齢は57歳~80歳,平均67.4歳(標準偏差5.88歳),罹病期間6ヵ月~15年,平均4年6ヵ月。冷え症(虚症,寒証)11例,中間証5例,BMI20以下の痩躯が7例,手指の腱鞘炎を合併している症例が4例であった。疼痛緩和までの期間は2ヵ月から8ヵ月,平均3ヵ月,その後8例で内服を継続し,維持量は2.5g であった。全例で変形の進行はなかった。全例で痛みは消失ないしはほぼ消失し全例で鎮痛効果がみられた。局所の熱感は全例で消失した。手指関節炎にも枝加朮附湯は有効治療となり得る。

  • 濱口 卓也, 吉野 鉄大, 堀場 裕子, 吉田 祐文, 渡辺 賢治
    日本東洋医学雑誌
    2016年 67 巻 1 号 50-53
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    疼痛に対しては局所の瘀血に注目し,駆瘀血剤が用いられることが多い。今回,上腕骨外側上顆炎に起因する疼痛に対して,気うつに注目し,烏薬順気散加減が奏効した一例を経験したので報告する。症例は48歳女性,右肘を打撲後,疼痛が持続したため当院整形外科を受診し,上腕骨外側上顆炎と診断された。整形外科で10ヵ月間の保存療法が行われたが疼痛の改善が得られず,漢方治療を希望して当科を初診した。気分が憂鬱になる,身体が重たく感じる,月経が不順であるといった気うつに関連した症状が主で,鬱々とした話し方や表情が見られ,烏薬順気散加減の内服を開始した。1ヵ月後,首や肩の張りは消失し,痛みが軽減した。2ヵ月後,MRI で病変の改善を認めた。9ヵ月後,月経が規則的になり,11ヵ月後,痛みをほぼ感じることなく日常生活を送れるようになった。長引く疼痛で,気うつが強い症例に,烏薬順気散加減が有効である可能性が示唆された。
  • 谷口 大吾, 戸城 えりこ
    日本東洋医学雑誌
    2022年 73 巻 3 号 321-324
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/04/05
    ジャーナル フリー

    高齢者の変形性膝関節症に対して,大防風湯加味が有効だった症例を経験したので報告する。症例は84歳女性で右膝痛に対して複数の病院でさまざまな薬剤を試したが,効果不十分であったため漢方治療を希望して受診した。全身的には気虚を認めず,局所には関節腫脹と軽度熱感を認め,単純X 線では膝内側の関節裂隙狭小化,骨棘形成,骨硬化像など重度の変形性膝関節症の所見を認めた。疎経活血湯や八味丸を使用したが,効果が得られなかった。大防風湯エキスがある程度有効であったため,煎じ薬に変更し,生薬量を増量することにより十分な効果が得られた。大防風湯は気虚に対する作用を有し,滑膜炎が軽度の関節リウマチに頻用される処方である。高齢者の変形性膝関節症にも有効であり,両疾患は共通する病態がある。

  • 三村 朋也, 岡谷 裕二, 宮﨑 千惠, 渡邉 露子, 許 鳳浩, 鈴木 信孝
    日本補完代替医療学会誌
    2020年 17 巻 2 号 119-124
    発行日: 2020/12/14
    公開日: 2021/01/12
    ジャーナル フリー
    20歳以上の健常女性26名を対象にプラセンタエキス含有食品を12週間連続摂取させるヒト試験を実施し,9つの中医体質に対する影響を検討した.体質解析対象は23例(3例脱落)で,プラセンタエキス含有食品を12週間経口摂取することにより,健康体質である平和質,未病体質である気虚質,陽虚質,陰虚質,湿熱質,気鬱質の各スコアは改善した.なお,安全性については,対象25例(1例脱落)で,有害事象(基礎疾患の蕁麻疹の悪化)が1例みられたのみで,特に問題点はなかった.
  • 矢野 博美, 牧 俊允, 後藤 雄輔, 吉永 亮, 井上 博喜, 久保田 正樹, 田原 英一
    日本東洋医学雑誌
    2021年 72 巻 3 号 264-274
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/12
    ジャーナル フリー

    乳癌治療に伴う諸症5例(関節痛,更年期様症状,化学療法の嘔気・嘔吐,しびれ・疼痛,化学療法中の倦怠感,経過観察中の不安神経症)に漢方治療を行い良好な経過が得られた。漢方治療を併用することで乳癌治療における副作用で生じる苦痛を軽減出来る。その事で乳癌治療を完遂し,精神症状を緩和し,再発予防,健康増進に貢献出来る。乳癌のがんサポーティブケアとして漢方治療が有用であると考えた。

  • 福嶋 裕造, 福嶋 寛子, 藤田 良介, 宮川 秀文, 橋本 篤徳
    日本東洋医学雑誌
    2020年 71 巻 3 号 219-223
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/09/28
    ジャーナル フリー

    手指の指節間関節症にはヘバーデン結節およびブシャール結節が含まれる。ヘバーデン結節は手指の遠位指節間関節の変形性関節症であり,ブシャール結節は手指の近位指節間関節の変形性関節症である。今回,手指関節症に対して疎経活血湯を投与して急激な改善を認めた3症例を経験した。症例は全例女性である。症例1は58歳で主訴は左中指 DIP 関節痛でヘバーデン結節と診断した。症例2は60歳で主訴は左環指 DIP 関節痛でヘバーデン結節と診断した。症例3は37歳で主訴は右環指 PIP 関節痛でブシャール結節と診断した。全例に疎経活血湯エキスを投与し関節痛が改善した。疎経活血湯は軽症から中等度の骨関節脊椎の疼痛に対して,NSAIDs と同様に有用な可能性があると考えられた。

  • 高橋 也尚
    日本東洋医学雑誌
    2016年 67 巻 4 号 371-375
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    牛車腎気丸は腎虚に伴う下焦機能改善に効果がある。自然消退の可能性もあるガングリオンの成因は様々言われているが,はっきりしない。我々は今回下焦機能改善に対して処方した牛車腎気丸が,ガングリオン消失に有効であった症例を経験したので報告する。
    患者は35歳の女性で,主訴は夜間頻尿,排尿困難,残尿感であった。
    尿・血液検査では特記すべき所見はなく,膀胱炎は否定的であった。漢方医学的所見では,上記主訴以外,手足の冷え,足の浮腫を認め,脈診では沈脈,腹診では小腹不仁の所見があり,いわゆる腎陽虚の所見を認めた。
    牛車腎気丸7.5g/日を開始し,手足の冷え,浮腫,夜間頻尿,残尿感も徐々に軽減し,6週間後には夜間頻尿,残尿感が消失した。同時に数年来悩んでいた右手首のガングリオンの消失を認めた。
    腎虚を伴うガングリオンに対して牛車腎気丸が,有効である可能性が示唆された。

  • 李 和純, 西谷 奈生, 田中 麻理, 寺井 美奈子, 田代 久美子, 網野 かよ子
    皮膚の科学
    2019年 18 巻 1 号 15-21
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/13
    ジャーナル 認証あり

    症例は60歳代,女性。インフルエンザ A 型罹患時に,市販の総合感冒薬であるベンザR ブロックR L 錠を内服し 3 日後に全身に皮疹が出現した。全身に融合傾向を示すびまん性紅斑があり,両眼瞼腫脹,眼球結膜充血や口唇びらんも認めた。臨床的症状からは Stevens-Johnson 症候群を疑ったが,皮膚病理組織検査では表皮の壊死性変化は乏しく,多形紅斑と診断し,ステロイド投与にて加療を行い症状は軽快した。症状改善後にベンザR ブロックR L 錠のパッチテストを行い,陽性を示した。さらにベンザR ブロックR L 錠の成分およびその成分を含む薬剤でパッチテストを行い,今回の多形紅斑の原因成分を塩酸プソイドエフェドリン(PSE)と同定した。ベンザR ブロックR L 錠と PSE を含有するディレグラR 配合錠の薬剤リンパ球刺激試験は陰性であった。今日 PSE の使用頻度が高くなってきており,PSE による薬疹の増加が予想される。このような薬疹が生じた場合,原因成分を同定することが患者の今後の薬剤選択において重要であると考える。 (皮膚の科学,18 : 15-21, 2019)

  • 小林 義典
    ファルマシア
    2021年 57 巻 2 号 104-108
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/01
    ジャーナル フリー
    従来、麻黄の活性本体はエフェドリンであり、他の化合物の寄与は少ないと考えられてきた。しかし、動物実験での経口投与における鎮痛作用や抗炎症作用には高分子縮合型タンニン(EMCT)の寄与が大きいことが明かとなった。このEMCTを含有するエフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス(EFE)は古典的な薬能を有し、エフェドリンによる副作用やうっかりドーピングの心配がない安全な麻黄製剤の原料として有望である。
  • 郭 忠之
    脳神経外科と漢方
    2023年 8 巻 1 号 1-9
    発行日: 2023/08/30
    公開日: 2023/09/30
    ジャーナル フリー

    加味逍遙散は,『和剤局方』 が原典である逍遥散に牡丹皮と山梔子を加味した方剤である。虚弱体質な婦人で肩が凝り,疲れやすく,イライラや精神不安などの精神症状,ときに便秘の傾向のある諸症 (冷え性,虚弱体質,月経不順,月経困難,更年期障害,血の道症) に適応があるとされている。それ故,婦人科・内科・心療内科・精神科などで処方される機会が多いが,当科でも16例に効果が認められ,2例は男性であった。奏功例を,東洋医学的見地から詳細に顧みてどのような患者に効果が期待できるのかを検討してみた。

    また加味逍遙散ができた時代背景,男性例の奏功例,長期服用時に起こる特発性腸間膜静脈硬化症の副作用についても文献的考察を加えて報告する。

  • 戴 毅
    PAIN RESEARCH
    2021年 36 巻 3 号 163-172
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー

    Transient receptor potential (TRP) ion channels form a family of ligand–gated ion channels that function as molecular detectors of physical stimuli, including light, tempera­ture, chemical and mechanical stimuli. Several TRP channels including TRPV1, TRPA1 and TRPM8 are expressed by nociceptors and play crucial roles in sensation of pain. Recently, several traditional herbal medicines (Kampo medicines) have attracted attention due to their excellent effects on management of pain in clinic. Many ingredients of these Kampo medicines could activate or inhibit TRP channels, which indicates involvement of TRP channels in analgesic action of the Kampo medicine. This review focuses on the increasing evidence of TRP channel modulation by natural compounds and try to find the molecular mechanism of Kampo medicine in treating pain disease.

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