皮膚の科学
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症例
塩酸プソイドエフェドリンによる多形紅斑型薬疹の 1 例
李 和純西谷 奈生田中 麻理寺井 美奈子田代 久美子網野 かよ子
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2019 年 18 巻 1 号 p. 15-21

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抄録

症例は60歳代,女性。インフルエンザ A 型罹患時に,市販の総合感冒薬であるベンザR ブロックR L 錠を内服し 3 日後に全身に皮疹が出現した。全身に融合傾向を示すびまん性紅斑があり,両眼瞼腫脹,眼球結膜充血や口唇びらんも認めた。臨床的症状からは Stevens-Johnson 症候群を疑ったが,皮膚病理組織検査では表皮の壊死性変化は乏しく,多形紅斑と診断し,ステロイド投与にて加療を行い症状は軽快した。症状改善後にベンザR ブロックR L 錠のパッチテストを行い,陽性を示した。さらにベンザR ブロックR L 錠の成分およびその成分を含む薬剤でパッチテストを行い,今回の多形紅斑の原因成分を塩酸プソイドエフェドリン(PSE)と同定した。ベンザR ブロックR L 錠と PSE を含有するディレグラR 配合錠の薬剤リンパ球刺激試験は陰性であった。今日 PSE の使用頻度が高くなってきており,PSE による薬疹の増加が予想される。このような薬疹が生じた場合,原因成分を同定することが患者の今後の薬剤選択において重要であると考える。 (皮膚の科学,18 : 15-21, 2019)

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© 2019 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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