原発性肺高血圧症(PPH)の家族内発症はよく知られているが,その臨床像は必ずしも明らかではない.我々は,家族性PPHの自験例2家系と,本邦での報告例の臨床像を検討したので報告する.
対象は23家系(親子例12組,同胞例14組).親子例では世代を経るごとに発症年齢の早期化,いわゆる
表現促進現象
が認められた.
初診時理由(主訴)は親子例,同胞例ともに動悸・息切れ,血痰・喀血によるものが多かったが,健診を契機に発見された例も散見された.また,成人女性22例中13例に妊娠を契機とした病状の悪化が報告されていた.
各症例に対する治療は様々であったが,PGI2持続静注療法施行例は自験例のみであり,移植治療を受けた例はみあたらなかった.
家族性PPHの臨床像は散発例の報告とほぼ同様であり,以上の集計結果は家族性PPH,さらには散発例のPPHの診療にあたる上で,有用な疫学的事象となると思われた.
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