アフタなどの落痛を併う口腔粘膜疾患では, 食事や会話, ブラッシングなどを妨げることが多く, 局所を外来刺激から物理的に保護することで症状を緩和させることができる.一方, 適切な薬剤の局所塗布が必要となる場合には, 薬剤の保持に問題があった.今回, 新たに開発したSI-3906は, フィルム状の薄いシールであり生体に為害性がなく, 歯肉, 粘膜, 歯への接着性を有することから, これを口腔内の疾患に応用して, その有効性および有用性 (接着性, 外部刺激の遮断性, 薬剤滞留性とその他の応用性) を検討するために本試験を行った.有効被験者は男13名, 女20名の計33名, 平均年齢は44.6歳であった, 適用症例はアフタ, 象牙質知覚過敏症, スケーリングおよび歯周外科処置歯ブラシによる歯肉への外傷などであった.その結果, 付着時間では, 全症例の平均時間は3時間14分であった.アフタに対しては平均2時間34分であった.アフタに対する有効性は「処置日」 (初診時) で, 著効8%, 有効31%, 稽効54%, 無効8%, 「再診日」で著効8%, 有効46%, 稽効31%, 無効15%であった.全症例での疹痛の軽減については, 有効29%, やや有効25%, 無効46%であった.違和感については, 気にならない36%, がまんできる46%であり, 強いと答えたのは18%であった.副作用はまったく認められなかった.各症例を通してその有用率は高かった.とくにアフタに対する有用性が高く認められた。他の薬剤との併用でも, その有用性が高く認められた。
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