試料に一定の割合で塩を加えた場合の導電率の増加によって非電解質を測定する方法に基づく試作計器を用いて,酒中のエタノール濃度を測定した.試料と同種類の酒を用いて校正する方法は,蒸留酒では好結果が得られたが,エキス分の多い試料ではその変化の影響を大きく受ける.そこで,比重も同時に測定し,国税庁のエキス分算出式を利用して
K値と名付けた係数を導入して補正計算を行う方法を考案し,清酒などに適用したところ,エキス分を大幅に変化させた試料に対しても正確に測定できた.更に清酒発酵過程のもろみ〓液に適用したが,発酵の進行に伴ってエタノール濃度,エキス分共に大きく変化するにもかかわらず,終始同一の
K値を用いて良好な結果が得られた.
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