アニメの心理学的体験生起と強度には作品要因や
視聴者
要因が影響し,個人差の大きさが示唆されている(藪田・佐々木,2019)。本研究は,体験の生起に影響する作品,
視聴者
の要因を明らかにすることを目的とした。
大学生・大学院生56名を対象に自由記述式質問紙調査を行い,KJ法により分析した。作品要因は7つ(キャラクターの特徴,心理表現,キャラクターの関係性,キャラクターの躍進する姿,好みの内容や展開,作品の構成に関する表現,現実と虚構の表現),
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要因は7つ(物語の好み,自分自身との類似性,感性の豊かさ,感情的な刺激の欲求,探求心,自他の人間的成長への思い,日常における心身の負担),阻害要因は5つ(
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/作品間に生じる不一致,
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の状態,作品そのものの心の揺さぶりのなさ,アニメ化によって生じる結果への不満,視聴する中で生じる阻害的体験)の大テーマに分類された。
作品要因から支援の際の作品選択の視点やアニメ制作にも還元できる知見が得られ,
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要因からは体験生起に関連しうる特性や状態の影響がうかがえた。また,体験の生起が阻害される際は違和感や好みの違いなど作品の評価に留まっていることが示唆された。
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