患者は50歳,女性.46歳時,意識消失発作を認め,近医入院.完全房室ブロック,心室頻拍(VT),び漫性の壁運動低下を認め,血液検査所見および心筋生検より全身性エリトマトーデス(SLE)による二次性心筋症と診断された.ペースメーカ植え込み,抗不整脈薬,ステロイド,免疫抑制薬投与により心機能に著明な改善を認め,以後,VTは認めなかった.50歳時よりアミオダロンを含めた多剤に抵抗性のVTが出現,電気的カルディオバージョンを要した.カテーテルアブレーションおよび植込み型除細動器(ICD)植え込み目的で当院を紹介された.右室造影で右室流出路と心室中隔の瘤状拡大を認め,プログラム刺激で計7種類のVT(左脚ブロック型)が誘発された.安定したマッピングが可能であったVT(2種類)に対し,Electro-anatomical mappingを施行し,右室流出路および心室中隔瘤起源のVTと診断,アブレーションを施行した.アブレーション後は持続性VTの再誘発は不能となった.二次性心筋症の低心機能を伴うVTであり,ICD植え込みを行った.二次性心筋症のような進行性疾患では病態の進行により,新たな治療抵抗性の不整脈が発生することがあり,注意深い観察・治療が必要と思われた.
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