複合反応の選択率に対する拡散の影響を,定量的に評価する目的で,球形アルミナ担持白金触媒(粒子径80,7メッシュ)をn-ヘキサン溶媒中に懸濁させ,フェニルアセチレンの液相逐次水素化反応を行なった。
フェニルアセチレンから中間生成物のスチレンが生成する第1段の反応は,水素濃度に関して1次であり,また第2段のスチレンからエチルベンゼンが生成する反応は,水素濃度につき0.87次であった。
選択率(Y)をエチルベンゼン生成速度に対するスチレン生成速度の比と定義すれば,拡散の影響を含むγはつぎのように表わせる。
γ=(1-Q),13(+1)-1
ここで,Qは全拡散抵抗に対する外部拡散抵抗の割合であり,瑞は内部拡散抵抗は存在するが,外部拡散抵抗が無視される場合(Q=0)の選択率で,つぎの式で示される。
yも=μ(ηOH)o,S-1
ただし,第1段と第2段の反応速度定数比,ηは触媒有効係数,Cgは水素の気液接触界面濃度をあらわす。
粒子内拡散抵抗または外部拡散抵抗が増せば,選択率がいちじるしく減少することが明らかになった。
また,選択率に対する支配的操作条件にっいて検討した,その結果,律速段階が細孔内拡散支配になると,触媒の担持量の因子が選択率に大きな影響をおよぼすことを明らかにした。
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