本論文の目的は,美術館と学校が連携して実施した鑑賞教育プログラムの目標について整理した上で,そのようなプログラムの学習効果を実証的に示すことである。はじめに,学校向けプログラムでは,美術と教育の両者の専門性を活かしながら,「その作品や展覧会の鑑賞を通じて気づかせたいこと・体験させたいこと」を明確にする必要性を確認した。そしてそれらを踏まえて,大学・小学校・美術館が連携し,
須田悦弘
展を訪れる小学校高学年向けのプログラムをデザインした。教育的効果の検証の結果,参加児童は, 1 )作品を見て,考えたり話をしたりする活動を「楽しい」と捉えるようになっていたこと, 2 )プログラムの中で学んだ鑑賞の視点を他の作品を見る際にも用いていたこと, 3 )日常生活にも活かされる,新しい眼差しを得ていたこと,などが明らかになった。
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