食品ロス削減はSDGsに掲げるターゲットの1つとして喫緊の課題となっている。事業系食品ロスの22%は食品小売業から生じており、弁当や総菜の売れ残りがその多くを占めている。本稿では、弁当類のチルド(冷凍、冷蔵)化により消費期限・賞味期限を長くすることで食品ロスを減らす可能性を検討する。
その手がかりとして、商品として定着したか否かという観点から、2000年代前半のam/pmジャパンの「フローズンとれたて弁当」とJR東日本のグループ会社NREの「O-bento」の失敗と、コロナ禍の中での冷凍
駅弁
と冷凍機内食の成功に着目する。商品特性と消費特性の一致、不一致が成功と失敗の差を生み出したことを明らかにし、今後、チルド弁当が市場に受け入れられるための条件を述べる。弁当類のチルド化は食品ロス削減に加え、物流逼迫問題の緩和や食中毒予防にも大きく貢献するとともに、車内・機内ケータリングの観点からCO
2削減に向けた国内航空機から夜行列車への代替にもつながる可能性を示唆する。
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