大型ハドロン計画(JHF: Japan Hadron Facility)は, 世界最強度の陽子シンクロトロンの作り出すいろいろなビームを素粒子, 原子核と物質科学の広範な研究に利用する学際的プロジェクトである. この計画の実現に向けて努力してきた東京大学原子核研究所は, 1997年4月に高エネルギー物理学研究所及び東京大学理学部中間子科学研究センターと統合し, 新しい研究機構(
高エネルギー加速器研究機構
)を構成した. この研究機構のもとで, 1998年度よりJHFの建設を開始する予定で準備が進んでいる. この計画で実現される大強度中性子ビームによる物質・原子核の研究(Nアレナ), ミュオンを用いた素粒子・原子核及び物質研究(Mアレナ), 不安定核ビームによる原子核・物質研究(Eアレナ)について解説する. これらは, 3GeVかつ200μAという世界でかつてない大強度陽子シンクロトロンを用いた学際研究を目指すものである.
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