デザイナは,製品を利用する状況全体をデザインする必要がある.そのためには,生活者の活動を幅広く観察し,気付きや問題意識を見いだすことが求められる.一方,情報システムは地理的,文化的制約を乗り越え,グローバルな視点でのもの作りが求められてきている. Scenario Exchange Project(岡本,Yuら,2005)はシナリオをメディアとして,参加型デザインを実施し,新たな情報システムの創出を目指すものである.本プロジェクトでは,ステイクホルダ間でシナリオをウエッブ上で共有し,意見を交換することができるScenario Exchange Webの環境を構築した.この環境を利用して,2005年12月に公立はこだて未来大学11名と台湾国立交通大大学18名の学生らによる共同ワークショップが実施された. シナリオは具体的でわかりやすいため,立場や文化の違いを乗り越えてデザインすることを手助けすることがわかった.今後はSEPを参加型デザインとして,ユーザやエンジニアといった様々な立場のステイクホルダを積極的に関与させることでデザインソリューションの質向上を計ることができると考える.
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