本研究では,東海地域で飼育されている3種類の鶏を選び,ロースト鶏腿肉の物性や成分を測定するとともに年代の異なるパネルの嗜好評価にもとづき,各年代に好まれるロースト鶏腿肉の調理条件と嗜好特性について明らかにした。
1)ロースト鶏腿肉の理化学特性はブロイラー肉(B肉)・三河赤鶏肉(M肉)・名古屋コーチン肉(K肉)で異なった。明度と赤みの濃さは,K肉>M肉≧B肉の順で濃く、肉の硬さは,K肉>M肉>B肉の順で硬かった。遊離アミノ酸含有量は,B肉>M肉>K肉の順で多かった。
2)年代別嗜好評価の結果,色では各年代で赤みの濃いK肉が好まれた。肉の硬さでは,青年で軟らかいB肉が,壮年・高齢者で硬いK肉が好まれた。香りでは,青年で有意差が認められず,壮年・高齢者でK肉が有意に好まれた。味では,青年でB肉が,壮年でK肉が,高齢者でM肉が好まれた。したがって,年代によって好まれる鶏肉の理化学特性が異なった。好まれる鶏肉の理化学特性として味とテクスチャーは重要な要因であり,色はあまり寄与しなかった。
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