核実験によって大気に放出された余剰炭素14の濃度の変動を,第2回目の核実験停止期間について解析した.
時系列資料から,高度•緯度別に回帰曲線を求めた.年変動の鉛直伝播速度を,位相の高度差から推定した.北緯72°の60,000~40,000フィート(18.3~12.2km)の高度で,1.1km/月の下方への伝播速度が求まった.北緯33°では,100,000~90,000フィート(30.5~27.4km)の高度で2.4km/月の上方への伝播があった.炭素14の濃度と気温の時系列資料の解析から,1.5~2ヵ月の周期をもった炭素14の濃度の変動が,鉛直運動によってもたらされていることが推測された.
炭素14の濃度の変動をオゾン濃度と関係づけた議論がなされている.
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