本研究は, 優秀なクロスカントリー選手を33名選択し, トレッドミル漸増負荷法にて彼等の心肺機能の反応及びランニング効率について検討することを目的として行なわれた. さらに検討するに当り, GardnerとPurdyのclassical running distance scoring tableによるランニングスコア847以上の走者の中で, 880ヤード, 1マイル, 及び3マイル以上の距離競技を自己のべスト種目とする走者を18名選択し, 各
グループ
6名ずつに分類した. 第3の長距離
グループ
の中で, 4名がマラソンレースの参加経験を持っており, 他の2名は10マイルを自己の最長競技距離としていた. これらの3
グループ
間での種々の比較が主な目的であった. 又, 全体の33名の身体特性, 身体組成, 心肺機能, ランニング効率等の間にどの程度の相関関係がみられるかについても検討が加えられた. 結果として, 最大酸素摂取量の相対値(体重及び除脂肪体重当り)と仕事量において, 3
グループ
間に有意な差がみられた. これらのいずれの項目においても, 長距離
グループ
と880ヤード
グループ
間により目立った差異がみられた. これらの顕著な差の主要因として, 中距離走者に比べ長距離走者の(1)長年のより持久的な鍛練によるヘモダイナミック機能の著しい向上と, (2)大幅な生化学的適応の結果による筋細胞内での酸化能力の向上が推測されるが, これに関しては今後なお一層の検討が必要である. ランニング効率に関しては, 体重当りの最大酸素摂取量の最も高い値を持つ長距離
グループ
の3名が, 同
グループ
の残りの3名や他の
グループ
の走者に比べ, 著しく高い値を示した. 880ヤードと1マイル
グループ
間での有意差は,最大酸素摂取量の相対値においてのみ見出された.
抄録全体を表示