2022 年 11 巻 2 号 p. 117-125
目的:営業職の職務特性にあわせた健康情報配信による健康管理への効果を明らかにし,職域における健康支援方法のあり方を検討する.
方法:製薬企業A社の営業職へ健康保険組合より毎月営業職に特化した健康情報をメール配信し,その効果の有無をアンケートにより調査,分析した.
結果:アンケート回答率は39.4%,配信した内容を一度でも読んだ人は83.5%であった.読んだ人では,配信した健康管理に対する知識,態度,行動は,全ての項目において配信前後で有意な変化を認めたが,行動変容の割合は小さかった.読んでいない人では,一部変化を認めた項目はあったが,読んだ人と比較するとその変化の割合は非常に小さかった.
考察:営業職の生活習慣にあわせた健康情報は,営業職の健康管理に効果があることが明らかとなったが,行動変容の割合は小さかった.今後は情報配信と併せて,営業職が健康行動を取りやすい労働環境の整備の必要性が示唆された.