大学教育において、創造的問題解決を学ぶための演習や実習が行われている。しかし学生は経験が未熟であるため観察やアイデア出しなどが不十分、視野が狭い、リアリティのない世界観を構築してしまうなどの問題が生じる。効果的に創造的問題解決プロセスを学ぶための学習プログラムを開発するために、実験的に
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を題材としたデザイン・ワークショプを実践した。ワークショップでは「
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のワンシーンを想定したIT機器を使ったプロトタイプ(大道具や小道具)を作る」という課題に、様々な専門領域を学ぶ学生が混成チームで取り組み、完成させた。結果、日常生活から離れた題材である
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をテーマとしたデザイン演習を行ったことで、日常の授業で学生の経験の未熟さから起こる問題のいくつかが回避できる可能性が示唆された。さらに未熟さを補完するためには「妄想力」が重要であることが示唆され、ワークショップのプロセスにおいて何度も「妄想出し」と進捗共有や振り返りを行うことでより妄想が具体的になり、これが良いアイデア出しのプロセスにつながったのではないかと考えられる。
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