日本大腸肛門病学会雑誌
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クエリ検索: 神経内分泌腫瘍
72件中 1-20の結果を表示しています
  • 関口 正宇, 斎藤 豊, 高丸 博之, 松田 尚久
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2020年 73 巻 10 号 475-482
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル フリー

    近年,直腸NETを中心に大腸NETを治療する機会が増えている.その結果,大腸NET治療後対応の重要性も益々高まってきている.しかし,追加治療やサーベイランスといった大腸NET治療後対応については,コンセンサスが得られていない項目が多く,日常臨床で苦慮する場面も少なくない.追加治療に関しては,粘膜下層にとどまる1cm未満の大腸NETについて,内視鏡的切除後に,脈管侵襲,NET G2,切除断端のどれかのみが陽性となってしまった場合に,特に外科的根治術の侵襲の大きい直腸において,追加手術をすべきかどうか悩む場面も少なからず経験される.サーベイランスについては,どのような対象にどのような方法で検査を進めていくか,質の高いエビデンスに基づくプログラムが世界的に存在していない状況にある.本稿では,大腸NET治療後対応(追加治療,サーベイランス)について,現状の問題点も含めて概説した.

  • 大辻 晋吾, 竹山 廣志, 鈴木 陽三, 池永 雅一, 清水 潤三, 冨田 尚裕
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2023年 76 巻 7 号 496-500
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/06/29
    ジャーナル フリー

    症例は50歳の女性.下部消化管内視鏡検査で直腸Rbに直径4.7mm大の粘膜下腫瘤を認めた.生検でNeuroendocrine neoplasmの診断となり内視鏡的治療を施行した.病理組織学的検査でSynaptophysin陽性,Chromogranin A(focal)陽性,mitotic count:0/10,Ki67指数:1.1%であり,Neuroendocrine tumor(NET)G1と診断された.病理組織学的検査でLy1であったことから追加切除の方針となり,D3リンパ節郭清を伴うロボット支援下低位前方切除術を施行した.摘出標本の腸管傍リンパ節に転移を認めた.進行度分類はTMN分類に則りpT1aN1M0,pStageIIIBであった.リンパ節転移を伴う腫瘍径4.7mmの直腸NET G1に対するロボット支援下低位前方切除術を施行した症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

  • 林 貴臣, 愛洲 尚哉, 大野 龍, 梶谷 竜路, 松本 芳子, 長野 秀紀, 薦野 晃, 吉松 軍平, 吉田 陽一郎, 長谷川 傑
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2022年 75 巻 1 号 1-7
    発行日: 2022年
    公開日: 2021/12/28
    ジャーナル フリー

    神経内分泌腫瘍
    診療ガイドラインによると,径10mm未満の直腸
    神経内分泌腫瘍
    (neuroendocrine tumor)は内視鏡的治療などの局所切除が推奨されている.今回われわれは中心陥凹を伴う径5mmの直腸NETに対し,リンパ節郭清を伴う直腸切除術を行い,病理組織診断にてリンパ節転移と脈管侵襲陽性を認め,さらに術後早期に多発性の肝転移再発した症例を経験したので報告する.症例は59歳女性.検診で直腸粘膜下腫瘍を指摘され,生検で
    神経内分泌腫瘍
    (NET-G1)と診断した.ロボット支援下直腸低位前方切除術を施行した.術後病理組織診断はNET-G1,5×5mm,ly0,v1,L251転移陽性,pStageIIIBであった.術後5ヵ月目で多発性の肝転移再発をきたし,肝部分切除術を施行した.術後病理組織診断にて肝転移巣はNET-G2の診断となり,Gradeの増悪を認めた.今後も再発リスクが高いと考え,現在補助療法(追加治療)を行っている.本症例のように微小病変であっても中心陥凹などのリスク因子があれば,外科的切除を考慮すべきと考えられた.

  • 加藤 悠人, 吉川 祐輔, 本郷 久美子, 山本 聖一郎
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2020年 73 巻 3 号 137-141
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/27
    ジャーナル フリー

    腫瘍径が径10mm以下の直腸

    神経内分泌腫瘍
    (neuroendocrine tumor:NET)に対しては内視鏡的切除が推奨されている.今回われわれは径4mm大の直腸NETに対して内視鏡的切除後の病理診断で脈管侵襲陽性であったため外科的切除を施行しリンパ節転移を認めた症例を経験した.原発巣が微小病変であっても内視鏡的切除後の病理組織学的検査所見においてリンパ節転移の可能性が示唆されるような症例に対しては外科的切除を考慮すべきであると考えられた.

  • 山中 伸一, 横山 泰久
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2019年 72 巻 4 号 176-184
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/27
    ジャーナル フリー

    症例は65歳男性.主訴は腹部膨満感.腹部CTにて小腸イレウスと診断し,小腸透視にて下部回腸に狭窄所見を認めた.

    経肛門的Single Balloon Enteroscopyでは回腸末端より約65cm挿入も腫瘤性病変や狭窄の指摘は困難であった.腹部造影CTでは下部回腸に造影効果と狭窄を伴う腸管壁肥厚像を認め,その口側腸管は著明な拡張を呈していた.腹腔鏡下観察では,回腸末端より約80cm口側に漿膜浸潤を伴った不整硬結と多数の腫大したリンパ節を認め,狭窄長約30mmの硬結を含めた回腸部分切除術を施行.最終病理診断は,neuroendocrine tumor(G2),stageIVBであった.術後はオクトレオチドLARを中心とする術後化学療法を導入も,副作用にて中止後は外来経過観察中であり,術後31ヵ月経過した現在なお無再発生存中である.最近の切除報告41例の検討を含め,文献的考察を交えて報告する.

  • 河内 洋
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2020年 73 巻 10 号 452-457
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル フリー

    本邦の大腸NETは後腸系に属する直腸原発が90%以上を占め,Chromogranin Aの陽性率が低いなど,中腸系NETとは異なる免疫組織化学的特徴がある.2019年に発刊された消化器WHO分類にてNET亜分類の変更が行われ,旧版の増殖指数によるものから,細胞異型度や組織分化度などの組織学的所見と増殖指数を組み合わせたものへ変更された.これにより,増殖指数の高いNETと,ゲノム異常や薬物治療反応性の異なる高悪性度の神経内分泌癌とが明確に区別された.本邦の大腸癌取扱い規約では,以前から両者を明確に区別する立場をとっており,新WHO分類は本邦の立場に近くなった.近年では,増殖指数以外のバイオマーカーの報告も散見され,多因子の解析による,適切な治療戦略の確率が期待される.虫垂杯細胞カルチノイドは,新WHO分類では虫垂杯細胞腺癌に名称変更され,NETとは別の腫瘍であることが明確になった.

  • 木戸 知紀, 島田 能史, 中野 麻恵, 中野 雅人, 亀山 仁史, 野上 仁, 若井 俊文, 岩渕 三哉
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2015年 68 巻 1 号 55-59
    発行日: 2015年
    公開日: 2014/12/26
    ジャーナル フリー
    同一病巣内に
    神経内分泌腫瘍
    (neuroendocrine tumor;NET)と腺癌の成分を認める直腸腫瘍は非常に稀である.このような腫瘍の発生過程は,NETと腺癌の両者への分化傾向をもつ単一クローン由来,それぞれ別のクローンから発生した腫瘍の衝突の2つの可能性がある.症例は52歳,男性.便潜血陽性で下部消化管内視鏡検査を施行され,下部直腸に10mm大の粘膜下腫瘍様病変を指摘された.生検でNETの診断となり,同病巣に対し内視鏡的粘膜下層剥離術を施行した.病理診断では,病巣は径8 mmで,病巣内にNETと腺癌の成分があり,両成分の粘膜下層までの浸潤を認めた.病巣構築より一方から他方が発生した経路を除外できること,明らかな組織移行像を認めないこと,および免疫組織化学の染色態度の相違から,NETと腺癌が別々のクローンから発生した衝突腫瘍であると診断した.追加腸切除の適応とされ,腹腔鏡補助下超低位前方切除術,D2郭清を施行し,現在まで再発を認めていない.
  • 高橋 慶一, 山口 達郎, 夏目 壮一郎, 中守 咲子, 小野 智之, 高雄 美里, 中野 大輔
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2020年 73 巻 10 号 467-474
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル フリー

    大腸NET(neuroendocrine tumor)の外科治療で局所切除を行うか,リンパ節郭清を伴う腸管切除を行うかしばしば術式選択に悩む.リンパ節転移の危険性が高ければ,後者の手術が必要になる.術前CTでの転移リンパ節は直腸癌に比べて小さい傾向があり,術前に転移リンパ節を的確に指摘することは困難である.そこで,リンパ節転移予測危険因子を国内のアンケート調査387例で検討し,腫瘍径10mm以上,表面陥凹あり,NETG2,pT2以深,脈管侵襲陽性の5つの因子が抽出された.これらの因子数別のリンパ節転移率は,予測危険因子なし:0.7%,1因子:19.1%,2因子:20.7%,3因子:61.9%,4因子:75.0%,5因子:75.0%で,3因子以上では高いリンパ節転移率を示した.大腸NETの外科治療ではこれら5つのリンパ節転移予測危険因子を念頭に置き,手術方法を決定することが推奨される.

  • 永野 慎之介, 杢谷 友香子, 廣瀨 創, 吉岡 慎一, 竹田 雅司
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2022年 75 巻 6 号 285-290
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/30
    ジャーナル フリー

    症例は81歳男性で,便通異常を主訴に前医を受診した.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に全周性の2型病変を認め,生検では中分化腺癌が検出された.CT検査では明らかなリンパ節転移や遠隔転移は認めず,同病変に対して腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.術後病理組織検査では,中分化腺癌と,synaptophsinが陽性,Ki67陽性細胞が80%以上のNET G3を伴う部分を認め,mixed neuroendocrine-non-neuroendocrine neoplasm(以下MiNEN)と診断した.高齢であり,術後補助療法を施行せず経過観察の方針とし,術後3年現在,再発なく経過中である.MiNENは予後不良な疾患群であるため,多くの症例は術後補助療法が施行されているのが現状である.術後補助療法を施行せず長期無再発生存中の大腸MiNENの報告はなく,文献的考察を加えて報告する.

  • 中西 芳之, 水内 祐介, 三渕 晴香, 渡邊 歓, 田村 公二, 佐田 政史, 永吉 絹子, 永井 俊太郎, 古賀 裕, 小田 義直, 中村 雅史
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2023年 76 巻 4 号 313-319
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー

    症例はアルコール肝硬変を既往にもつ64歳の男性で,右下腹部痛と血便のため前医を受診され,CTで終末回腸に壁肥厚を指摘され当院紹介となった.カプセル内視鏡で,中部から下部小腸を中心に頂部発赤調のSMT様隆起の多発を認め,ダブルバルーン内視鏡を用いて病変より生検を行い,回腸に多発する

    神経内分泌腫瘍
    (Neuroendocrine tumor;以下,NETと略記)の診断となり手術目的に当科を紹介受診された.術中所見ではTreitz靭帯より315cmから365cmに多発する腫瘍を認め,同部は小腸切除を施行した.また,術中内視鏡で同部以外の離れた6ヵ所にも腫瘍を認め,小腸切除後の栄養障害および肝機能増悪を回避するため,それぞれ楔状に局所切除を施行した.術後の病理診断で腫瘍はすべてNET(G1,G2)の診断であった.多発する小腸NETは本邦では比較的稀な疾患であるため,若干の考察を加えて報告する.

  • 渡部 顕, 大田 貢由, 諏訪 雄亮, 鈴木 紳祐, 石部 敦士, 渡邉 純, 渡辺 一輝, 市川 靖史, 平澤 欣吾, 田辺 美樹子, 遠藤 格
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2015年 68 巻 2 号 61-67
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/30
    ジャーナル フリー
    【はじめに】
    神経内分泌腫瘍
    は2010年のWHO分類からKi67と核分裂像によりNET G1,NET G2,NECに分類された.カルチノイドはNET G1,内分泌細胞癌はNECと考えられているが,今回より加わったNET G2を含めて,未だ不明な点が多い.
    【方法】2000年1月~2013年6月に当教室で治療した大腸腫瘍3,090例のうち,
    神経内分泌腫瘍
    と診断された症例を対象とし,臨床病理学的因子および施行治療,予後を評価した.NET G1のリンパ節転移の有無と腫瘍径,リンパ管侵襲,静脈侵襲との関連を検討した.
    【結果】対象は102例(NET G1,NET G2,NEC,MANEC=88,4,6,4)腫瘍径の中央値(mm)はNET G1,NET G2,NEC,MANEC=7,19,47,22.リンパ節転移率はNET G1,NET G2,NEC,MANEC=11%,75%,83%,50%.遠隔転移率はNET G1,NET G2,NEC,MANEC=0%,50%,83%,0%.5年生存率はNET G1,NET G2,NEC,MANEC=94.5%,37.5%,16.7%,100%.NET G1は腫瘍径1-6mm,7-9mm,10mmでリンパ節転移率が0%,13%,33%.リンパ管侵襲陽性症例の半数にリンパ節転移を認めた.
    【結語】大腸
    神経内分泌腫瘍
    に関するWHO 2010分類は悪性度を反映し,予後をよく層別化し,NET G2,NECは予後不良であった.NET G1は腫瘍径10mm以上もしくはリンパ管侵襲陽性が追加外科切除の適応と考えられた.
  • 斉藤 裕輔, 藤谷 幹浩
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2020年 73 巻 10 号 458-466
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/27
    ジャーナル フリー

    大腸,特に直腸の黄色調の粘膜下腫瘍をみた際にはneuroendocrine tumor(NET)は一番の鑑別にあがり,色素散布を行い超音波内視鏡検査を併用して診断することが望ましい.大きさ10mm未満で表面に陥凹や潰瘍を認めず,T1(SM)に留まっている病変は内視鏡切除の適応である.大腸NETに対する内視鏡切除法として通常のスネアポリペクトミーやEMRは垂断端陽性率が高率となるため適さない.2-チャンネル法,キャップ法(EMRC),結紮法(ESMR-L),さらにはESDによる切除が推奨される.施設や施行医の技量を十分考慮した上で,それぞれの内視鏡切除法の利点を生かした治療法を選択する必要がある.内視鏡切除後はリンパ節転移の危険因子について評価し,患者の年齢,全身状態・合併症を考慮した上で追加治療の是非を決定する.NETに対する内視鏡切除は適応病変において良好な成績と予後が報告されている.

  • 井上 亮, 堀田 彰一, 目黒 高志, 森田 高行, 藤田 美芳, 福島 正之, 上野 峰
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2021年 74 巻 2 号 55-60
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー

    症例は86歳女性.腹痛を主訴に紹介受診し,血液検査で炎症所見の上昇,腹部CTで虫垂腫大,周囲脂肪織の炎症を示唆する所見を認め,腹腔鏡下虫垂切除術を行った.切除標本は65mm×24mmの腫大した虫垂で,N/C比の高い腫瘍細胞を認め,免疫組織化学染色ではchromogranin A,synaptophysin,CD56の神経内分泌マーカーが陽性を呈し,神経内分泌癌(Neuroendocrine carcinoma;NEC)の確定診断を得た.術後再検査で多発肝転移を指摘したが,Best supportive careの方針となり,約3ヵ月後に永眠された.

    虫垂NECの症例報告はわれわれの調べた範囲では自験症例を含め,11例ほどと非常に少数で稀だが,治療ガイドラインが確立されておらず,診断・治療成績向上には症例集積が必要である.

  • 河原 慎之輔, 沼田 正勝, 山中 正二, 渥美 陽介, 風間 慶祐, 玉川 洋, 湯川 寛夫
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2021年 74 巻 8 号 461-468
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    症例は36歳男性.血便に対し施行した下部消化管内視鏡で下部直腸に15mmの粘膜下腫瘍を認め,生検でNET G1と診断.CTで左閉鎖リンパ節腫大を認めたが,石灰化を伴い,PETではSUVmax2未満,MRIでは拡散制限を認めず,増大時切除の方針とし,ロボット支援下腹会陰式直腸切断術(D3LD0)を施行.病理診断はNET G2,pStageⅢB.補助療法としてcapecitabine療法を施行.術後7ヵ月のCTで左閉鎖リンパ節の増大を認め,ソマトスタチン受容体シンチグラフィで集積を認めた.以上より左閉鎖リンパ節転移と診断し切除した.病理診断は直腸NETの転移であった.これまでNETの側方リンパ節転移は12例の報告があり,いずれもCT/FDG-PET/MRIで診断されていた.今回,ソマトスタチン受容体シンチグラフィが転移診断に有用であった1例を経験した.

  • 上田 正射, 池永 雅一, 太田 勝也, 千原 剛, 安井 昌義, 能浦 真吾, 富永 修盛
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2019年 72 巻 2 号 65-70
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/30
    ジャーナル フリー
    症例は60歳代の男性で,腹痛,嘔吐を主訴に当科受診した.腹部造影CTで盲腸と連続した80×65×60mmの腫瘤,多発肝転移と腹膜播種を認めた.回盲部腫瘤を起点として腸閉塞を認めた.経鼻イレウス管留置後,第6病日に双孔式回腸人工肛門造設術+腫瘍生検を施行した.病理検査所見では,N/C比の高い腫瘍細胞を認め,上皮性マーカー,神経内分泌マーカーが陽性であり,神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma;NEC)と診断された.以後,大腸癌治療ガイドラインに準じFOLFOX+bevacizumab療法を施行したが奏効せず,初診より122日目に原病死した.大腸原発のNECは比較的稀で,予後不良な組織型である.治療ガイドラインは確立していないが,手術と化学療法をあわせた集学的治療が必要とされる.多発性肝転移,腸閉塞を呈した回盲部原発のNECを経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 清水口 涼子, 小泉 浩一, 堀口 慎一郎, 髙雄 暁成, 柴田 理美, 夏目 壮一郎, 髙雄 美里, 中野 大輔, 山口 達郎, 川合 一茂, 飯塚 敏郎
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2024年 77 巻 2 号 77-83
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/25
    ジャーナル フリー

    【はじめに】直腸

    神経内分泌腫瘍
    (NET)において内視鏡治療後の病理組織学的診断で脈管侵襲陽性となった場合,追加切除の検討が必要とされているが,内視鏡治療後の長期予後に関して十分なエビデンスがない.【方法】2005年1月~2021年12月に当院で内視鏡治療をした腫瘍径1cm未満で粘膜下層までにとどまる直腸NET G1患者158例中,脈管侵襲陽性であった44例(27.8%)を対象とし,リンパ節/遠隔転移率,再発/死亡率を検討した.【結果】追加外科切除を12例,経過観察が32例であった.追加外科切除例で2例リンパ節転移が認められ,経過観察例の5例で他病死が認められたが,遠隔転移,再発,原病死はみられなかった.【結語】腫瘍径1cm未満の直腸NET G1における内視鏡治療後の脈管侵襲陽性例では再発,原病死はみられなかった.

  • 長谷川 誠, 平木 将之, 福本 結子, 春名 健伍, 池嶋 遼, 河合 賢二, 畑 泰司, 村田 幸平
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2023年 76 巻 2 号 169-177
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/30
    ジャーナル フリー

    大腸原発の神経内分泌癌(Neuroendocrine carcinoma以下,NEC)は報告も少なく稀な疾患である.一方で,腫瘍の進展は早く予後不良であり治療法は確立されていない.今回,2010年から2020年の間に4例のNECを経験したので報告する.年齢は61~87歳で,性別は男性1例,女性3例であった.原発部位は盲腸1例,上行結腸1例,下行結腸1例,直腸1例であり手術を施行した2例は術前生検でNECの確定診断が得られなかった.全症例で初診時よりリンパ節転移を認めた.予後に関しては,確認できた3例で初診時より3~6ヵ月であった.大腸原発NECは明確なガイドラインはなく,初診時に進行を認める事が多い.化学療法を含めた集学的治療を要するが有効なものは確立されておらず予後不良であり,今後更なる症例の蓄積が治療方針の確立に必要である.

  • 浅原 史卓, 宮内 潤, 橋本 和彦
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2016年 69 巻 8 号 436-440
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/25
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.大腸癌検診にて便潜血陽性を指摘され,2次検診の下部消化管内視鏡検査にて,横行結腸に腫瘍性病変を発見された.術前の生検検体の病理学的所見では低分化型腺癌の診断となり,腹腔鏡補助下横行結腸切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検査で腫瘍は固有筋膜まで浸潤しており,神経内分泌癌(neuroendocrinecarcinoma;以下NEC)に相当する成分と粘液産生を示す腺癌の成分とを認めた.腫瘍内での分布範囲として各々量的に30%以上を占めており,mixed adenoneuroendocrine carcinoma(以下MANEC)と診断した.MANECは一般的には悪性度の高い疾患といわれているが,根治的切除後1年経過した現在,無再発で経過観察中である.横行結腸MANECは比較的まれな疾患であり,文献的考察を加え報告する.
  • 田川 寛子, 吉松 和彦, 横溝 肇, 大澤 岳史, 矢野 有紀, 中山 真緒, 坂本 輝彦, 加藤 博之, 成高 義彦
    日本大腸肛門病学会雑誌
    2014年 67 巻 7 号 460-464
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    症例は41歳女性.排便障害を主訴に当院内科を受診.腹部造影CT検査,腹部超音波検査で30mm大の虫垂粘液嚢胞腫瘍が疑われ,手術目的に当科紹介受診した.同診断で腹腔鏡下虫垂切除術を施行し,病理組織学的に低悪性度虫垂粘液嚢胞腫瘍と
    神経内分泌腫瘍
    (Neuroendocrine tumor:NET)の併存を認めた.
    NETの腫瘍最大径が20mmを超えていたため,追加切除を行ったが,腫瘍遺残やリンパ節転移はなかった.術後1年経過後も再発兆候は認めていないが,両者の再発の可能性も含めた経過観察が必要と考える.
  • 日本大腸肛門病学会雑誌
    2021年 74 巻 2 号 91-125
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/01/28
    ジャーナル フリー
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