昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
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  • 大高 庸平, 城丸 瑞恵, いとう たけひこ
    昭和医学会雑誌
    2010年 70 巻 4 号 302-314
    発行日: 2010/08/28
    公開日: 2011/05/27
    ジャーナル フリー
    現在,日本において乳がん患者は急速に増加している.治療法の1つであるホルモン療法は,副作用が少ないとされているが,一方でホットフラッシュなどの出現があり,これによって患者のQOLの低下が予測される.本研究は乳がん患者のQOL向上に向けて,手術やホルモン療法を受ける患者の具体的な心理を患者の語りからテキストマイニングを用いて探索的に明らかにすることを目的とした.対象は10人の乳がん患者である.半構造化面接によって得られた逐語録を,テキストマイニングソフトウェアにて分析した.全体頻度として用いられた単語は,治療に関連した単語とともに家族や仕事など患者の生活面があらわれ,治療面,生活面,心情・身体症状の3領域が見出された.患者個人が特徴的に用いる単語では,量的に示された結果に対して,それぞれの単語を原文から見ることで多様性が明らかになった.単語間の共起関係について,手術のカテゴリにおいては“頭”と“真っ白”のつながりは告知によるものであり,“手足”と“痺れ”のつながりは症状に関する語りであった.“不安”と“痛い”との間に弱いつながりが見られ,手術後の症状によるものであった.ホルモン療法のカテゴリにおいては“ホルモン療法”と“手術後”と“影響”,“ひどい”と“生理”とのつながりが見られ,“副作用”は“痛い”と“関節”,“抑える”と“体力的”との共起関係があった.ホルモン療法では,手術と違い,患者の心理面に関する単語の共起が少なかった.手術とホルモン療法のカテゴリ内を対象とする対応分析では,家族の支援が豊富に得られた患者と症状に苦しむ患者とが対比された. 乳がんの手術やホルモン療法に関する心情が患者の語りから明らかとなった.手術のカテゴリでは身体症状の緩和が不安の緩和へとつながることや,告知に対する課題が得られた.ホルモン療法のカテゴリでは身体症状に関連した影響は明らかにされなかったが,若年層の患者に対する影響について研究の蓄積が必要である.乳がんという身体的・心理的不安が生じるなかで患者が求めるサポートは多様であり,仮説生成的な気づきが得られる一方,家族の支援が大きいほど乳がんに対して前向きな生き方を可能にすることが示唆された.乳がん患者の支援方法については多様性の理解のもとに,各々のサポート内容のより効果的な構築が今後必要である.
  • 城丸 瑞恵, 伊藤 武彦, 下田 美保子, 仲松 知子, 宮坂 真紗規, 堤 千鶴子, 久保田 まり
    昭和医学会雑誌
    2008年 68 巻 6 号 334-344
    発行日: 2008/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本研究は, 腹部の手術を受ける患者の手術前後のコーピングの実態と構造を包括的に明らかにすることを目的とした.調査対象は, 腹部の手術をした患者113人中, 回収ができた103人である.手術前後において対応する各58項目を調査内容に設定して数量的に分析を行った.その結果, 手術前は手術後と比較してより多くの種類のコーピング方略を用い, また活用度も高い (p=038) 58のコーピング方略を研究者間で考慮して16領域に分類後, 多次元尺度法により布置図を作成した結果, 距離関係から4群に分類ができ, 「援助希求行動」と「積極的覚悟と行動」, また「緊張緩和行動」と「回避」がそれぞれ近い距離にあることを示した.LazarusとFolkmanを参考にして前者を問題焦点型コーピング, 後者を情動焦点型コーピングと位置づけた.この4群の中で手術前後にもっとも活用されたのが「積極的覚悟と行動」であり, 手術への覚悟と不安というストレスフルな課題に対する問題解決的援助の必要性が示唆された.一方, 「緊張緩和行動」は, 手術後に有意に増加しており (p<001) , 情動焦点型コーピングへの看護援助も相対的に重要になることがうかがわれた.悪性腫瘍群と非悪性腫瘍群の間では, 悪性腫瘍群は手術前「情緒的回避 (p=002) 」「成長期待 (p=002) 」.手術後「計画立案 (p=030) 」が, 非悪性腫瘍群より有意に高く, 苦痛緩和に対して回避のコーピング方略が有効である可能性が示唆された.手術前の患者の問題解決型コーピングの援助, 特に情報提供を十分に行うことが, 看護の重要課題の一つであることが明らかになった.また, 手術前だけでなく, 手術後のコーピングに対する援助も看護的援助の課題であることを問題提起した.
  • 城丸 瑞恵, 中谷 千鶴子, 副島 和彦, 松宮 彰彦, 高 用茂, 渡辺 糺
    昭和医学会雑誌
    2005年 65 巻 4 号 345-355
    発行日: 2005/08/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年, 罹患率が増加している乳癌の治療方法としてホルモン療法がある.ホルモン療法によって腫瘍の縮小が期待されるが, 更年期症状の出現に伴うQOLの低下が予測される.そこで本研究はホルモン療法による更年期症状の出現状況とそれに関連した心理・身体・社会的状況について検討した.対象はホルモン療法実施中の41名で, そのうち治療前に閉経していたのは19人であった.手術後1.9±1.4年経過しており, 平均年齢は55.2±5.0であった.Kuppermanの更年期指数及びHADS指数を含めた調査項目を基にして半構成的面接法を行った.結果として, 約61%に何らかの症状が出現しており, 特に患側の肩・腕に関連した症状が出現する傾向がみられた.更年期スコアの総得点の平均値は20.5±9.5で血管運動神経障害の出現頻度が高く, 治療による卵巣機能の抑制が影響を及ぼしていると考えられる.更年期症状と不安・抑うつ度は正の相関がみられ, 身体症状と精神症状が強く関連することが示唆された.治療前に閉経していた対象よりも閉経をしていなかった対象群のほうが経済的負担について気にしており (p<0.05) , また年齢が低いほど家族に迷惑をかけていると感じている (r=.55, P<0.01) ことから, ライフステージに応じたサポート体制の必要性が考えられた.
  • 城丸 瑞恵, 下田 美保子, 久保田 まり, 山口 知子, 宮坂 真紗規, 堤 千鶴子, 伊藤 武彦
    昭和医学会雑誌
    2007年 67 巻 5 号 435-443
    発行日: 2007/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本研究は, 消化器疾患を中心とした腹部の手術を受ける患者の不安状態をもたらす「心配」に焦点をあてて, 手術前後の具体的な心配の内容や相互の関係を明らかにすることで, より抽象的な不安の構造を探索的に実証することを目的とした.研究対象者は, 研究の同意が得られたA大学病院B病棟で手術を行った患者113人中, 回収ができた103人であり, 平均年齢59.6 (±12.7) 歳, 男性66人, 女性37人であった.調査内容は, 手術前後の各時期に予測される心配の原因・内容・状況について先行研究を基にして研究者間で検討したのちに, 手術前後各15項目を設定した.分析の結果, 手術後は「心配の尺度得点」が「退院後の社会生活 (r=.59, p<.001) 」「退院後の日常生活 (r=.57, p<.001) 」に対する心配と相関がみられ, 退院後の生活の再構築に視野をひろげた支援の必要性が伺われた.手術前後の心配各項目の類似性と構造を把握するために, クラスター分析 (ウォード法) を参考にしてMDS (多次元尺度法) を解釈した結果, 「対応満足」「現在の不安」「心の準備」「結果不安」「手術後関係不安」の5つに分類ができた.悪性腫瘍の有無や術式, 性別, 年齢と心配の関係をみると, 特に年齢の影響が大きいことが見出され, 65歳未満の対象は65歳以上の対象より, 手術前は「仕事に対する心配」や「医療従事者の対応不安」, 「手術後の処置に対する心配」が強く, また手術後も「医療従事者の対応不安」が5%水準で有意に強くなることが示唆された.
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