日本薬理学雑誌
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アレルギー性疾患治療薬Tranilastのカラゲニン肉芽形成および血管透過性充進に対する作用
須澤 東夫市川 潔菊池 伸次山田 幸一郎土屋 興巨浜野 修一郎小松 英忠宮田 廣志
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1992 年 99 巻 4 号 p. 241-246

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抄録

ラットのカラゲニン誘発肉芽形成モデルおよび血管透過性尤進モデルに対するtranilastの作用を検討した.カラゲニン誘発肉芽形成モデルにおいてtranilast(50または100~200mg/kg,p.o.)は用量依存的に,有意に肉芽組織重量およびヒドロキシプロリン量を減少した.tranilast(50~200mg/kg,p.o.)はラットの背部皮膚欠損の創傷治癒日数を遅延しなかった.triamcinolone(10mg/kg,p.o.)はカラゲニン肉芽形成を著明に抑制した.tranilast(50~400mg/kg)はCaionophore A23187,bradykininおよびxanthine oxidase誘発血管透過性充進による色素浸出を用量依存的に減少した.さらに,tmnilast(30および300μM)はヒト好中球のFMLPによる活性酸素産生を抑制したが,活性酸素捕捉作用は示さなかった.肥厚性疲痕およびケロイドは線維芽細胞の異常増殖およびコラーゲンの過剰蓄積による肉芽形成とともに癌痒,疹痛を伴う疾患であることから,tranilastは肥厚性廠痕およびケロイドに対しても有用な薬剤と考えられる.

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