色落ち海苔 (海苔) からの乳酸発酵によるGABA生産を検討するとともに, 高血圧自然発症ラット (SHR) を用いて発酵海苔の血圧上昇抑制効果を評価した。
(1) 海苔をLactobacillus brevis NBRC12005で発酵させた結果, 海苔から遊離したグルタミン酸の94%がGABAに変換され, 海苔が優れたGABA生産基材になり得ることが確認できた。
(2) 海苔を2.5%塩酸液中で121℃, 5時間加熱処理することによって, 海苔からのグルタミン酸遊離量を約6倍増加させることができた。しかし, 中和により生じる塩により乳酸菌の生育が阻害され, 乳酸発酵によりGABAは生成されなかった。一方, 海苔をペプチダーゼ系酵素剤の0.5%溶液中で5時間処理すると, 海苔からのグルタミン酸遊離量は約2.5倍増加した。
(3) 発酵海苔の乾燥物を飼料に1%量添加してSHRに投与した結果, 海苔を乳酸発酵することによって, 血圧上昇抑制効果が顕著に増大することを確認した。