日本食品保蔵科学会誌
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色落ち海苔の乳酸発酵によるGABA生産と発酵海苔の機能性
土谷 紀美松田 茂樹平川 玄太島田 修堀尾 倫子谷口 智穂藤井 知美石田 彰男岩原 正宜
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2007 年 33 巻 3 号 p. 121-125

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抄録

色落ち海苔 (海苔) からの乳酸発酵によるGABA生産を検討するとともに, 高血圧自然発症ラット (SHR) を用いて発酵海苔の血圧上昇抑制効果を評価した。
(1) 海苔をLactobacillus brevis NBRC12005で発酵させた結果, 海苔から遊離したグルタミン酸の94%がGABAに変換され, 海苔が優れたGABA生産基材になり得ることが確認できた。
(2) 海苔を2.5%塩酸液中で121℃, 5時間加熱処理することによって, 海苔からのグルタミン酸遊離量を約6倍増加させることができた。しかし, 中和により生じる塩により乳酸菌の生育が阻害され, 乳酸発酵によりGABAは生成されなかった。一方, 海苔をペプチダーゼ系酵素剤の0.5%溶液中で5時間処理すると, 海苔からのグルタミン酸遊離量は約2.5倍増加した。
(3) 発酵海苔の乾燥物を飼料に1%量添加してSHRに投与した結果, 海苔を乳酸発酵することによって, 血圧上昇抑制効果が顕著に増大することを確認した。

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