脈管学
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総説
閉塞性動脈硬化症は大動脈弁狭窄症の生命予後を悪化させる
遠藤 淳子寺澤 史明須甲 正章三上 晴克東原 宣之角濱 孝行大谷 則史
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2012 年 52 巻 January 号 p. 35-39

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抄録
要 旨:近年,大動脈弁狭窄症(AS)の成因としてリウマチ性が減少し,動脈硬化による硬化性の病変が増加している。今回われわれは,当院における中等度以上のAS症例において動脈硬化関連疾患である冠動脈疾患,脳血管疾患,頸動脈狭窄症や閉塞性動脈硬化症の末梢動脈疾患,動脈硬化のリスクファクターである糖尿病,脂質異常症,透析の存在が生存期間に及ぼす影響について検討した。生存率は大動脈弁置換術(AVR)の施行例で有意に高く,AVRによる生命予後の改善が確認された。また,AVR施行,未施行にかかわらず末梢動脈疾患を有する群が他疾患およびリスクファクターを有する群に比べ生存率が有意に低下していた。末梢動脈疾患を有するAS症例は硬化性のASの割合が高く,死亡例ではいずれも他の動脈硬化性疾患を合併し,死亡原因も心臓血管関連死が多かった。とくに硬化性ASの生命予後を改善するためには,合併する末梢動脈疾患などの動脈硬化性疾患の管理も重要であると考えられた。
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