日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
胡椒辛味成分に関する研究
(第1報) 胡椒の辛味の測定について
森 一雄山本 泰男駒井 正一
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1974 年 21 巻 10 号 p. 466-471

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抄録

胡椒中の辛味成分の化学的定量法のうち,リン酸法,クロモトロプ酸法(ASTA修正法),紫外部吸光度法(UV法)について官能的な辛味との相関性より比較検討を行った。
胡椒中のピぺリン定量値はつねにリン酸法,ASTA修正法がともにUV法に比し高い値を示した。純ピペリンと胡椒抽出エキスをその定量値に合わせて辛味強度を官能検査により比較したところ,ASTA法はもとよりUV法の定量値によるものですら,純ピペリンよりも辛味が弱く感じられた。
そこで,シリカゲルG薄層クロマトグラフを用い,辛味を有しないUV定量感応物の分別検討を行ったところ,胡椒中のUV吸光度におよぼす影響が約10%あることを認めたが,その中に辛味をほとんど有しない1-ピペロイルピロリジン(ピロペリン)の存在が確認され,天然胡椒中に0.2~0.3%存在することを認めた。
胡椒中のピペリン定量法としては,暗所内操作を条件とするが,UV法が操作も簡単で辛味強度との相関性がかなり高いことが判明した。このUV法で得られる定量値は,ピロペリンをも含むため分離定量を行うことが望ましい。

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