日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
紅麹食品が高血圧自然発症ラットの血圧に及ぼす影響
辻 啓介市川 富夫田辺 伸和阿部 士朗樽井 庄一中川 靖枝
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1992 年 39 巻 10 号 p. 919-924

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抄録

紅麹を用いてパン,味噌,醤油,素麺の4種の食品を製造した.これらを半合成飼料に添加し,高血圧自然発症ラット(SHR)に15日間与え,血圧に及ぼす影響を検討し,以下の結果を得た.
(1) 材料に対し5%の割合で紅麹を用いた紅麹食パンの乾燥粉末は, SHRの血圧上昇を抑さえた.
(2) 麹使用量の約4分の1を紅麹にして醸造した紅麹味噌の噴霧乾燥物は.対照の味噌粉末がSHRの血圧を上げたのに対し,上昇を抑制した.
(3) 麹使用量の4分の1を紅麹にして製造した紅麹醤油の噴霧乾燥物は, SHRの血圧を降下させた.しかし,脂質代謝に対しては影響を与えなかった.
(4) 素麺の原料である中力粉に対し紅麹を3%添加して製造した紅麹素麺は降圧作用を有したが, 2分50秒の湯通しを行うとその効果は半減した.これは,水溶性である降圧成分が湯通しにより溶出したためと考えられる.

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