村落社会研究ジャーナル
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31 巻, 1 号
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表紙・裏表紙
論文
  • イタリア・トスカーナのワイン生産現場における商業化とグローバル化を中心に
    深谷 拓未
    2024 年31 巻1 号 p. 1-12
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

      Currently, there is a growing interest in the concept of terroir, which evaluates regional originality around wine production. Prevailing studies on terroir, focusing on the historical developments of political institutionalization and the ‟traditional” artisanal skills of the local producers, have revealed the process by which terroir culminates in the certification system and have incorporated the producers’ practices and senses into the concept of terroir. However, given the generalization of the certification system and the current context of homogenization and industrialization which are affecting producers’ practices and senses, it must be demanded that studies on terroir today reevaluate the functions and characteristics that terroir brings from the local production site. In Tuscany, Italy, a well-known wine region all over the world, the terroir-based certification system faces small-scale producers as an economic or commercial interest involving brands and subsidies, rather than ideological acceptance and penetration of terroir. Moreover, the intervention of experts who are skilled in international chemical vinification techniques and sometimes take the tasks related to the social system instead of the producers, is leading to the standardization and the growing complexity of producers’ practices and senses on a global scale. Consequently, the concept of terroir can be interpreted not only as a concept that emphasizes the regional originality, but also as a concept that obscures the commercial aspects of production activities and the fact that local producers’ practices and senses are subject to global standardization and diversification.

特集I
研究会「村落の『空間荒廃』と資源管理を考える ―獣害対策の観点から―」
  • 桑原 考史
    2024 年31 巻1 号 p. 13-18
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

     野生鳥獣による農林業被害は依然深刻である。被害は地域資源の利用低下と村落の空間荒廃のもとで生じており、被害対策にはこれらの克服が求められる。本学会では過去に〈むらの文化〉という視点からこの課題へのアプローチがなされている(年報第46集『鳥獣被害―〈むらの文化〉からのアプローチ』2010年)。他方で上記の趨勢を覆すのは難しく、一定程度受け容れざるを得ない面がある。村落研究はこの現状にどう向き合い、どのような議論を展開していけばよいだろうか。

     このような問題関心のもと、「村落の『空間荒廃』と資源管理を考える―獣害対策の観点から―」と題した研究会を開催した。本特集記事はその記録である。

     研究会では、獣害の克服と受容という対照的な議論の流れを踏まえて次の2つの目的を設定し、報告と議論を行った。第1に、獣害の克服と受容という視点が、それぞれどのような現状把握と問題意識に基づいているかを明らかにすることである。第2に、こうした一見対照的な視点の間に接点を見出し、二者択一にとどまらない議論の可能性を探ることである。

     研究会は2023年12月23日、跡見学園女子大学(文京キャンパス)においてハイブリッド形式で開催し、対面とオンラインを合わせて25名が参加した。コーディネーターからの趣旨説明後、「獣害対策と資源利用」(弘重穣氏)、「『山のもんに負けた』生活感覚から村が滅ぶ文化的な意味を問う」(閻美芳会員)の2報告が行われた。報告に対する竹本太郎会員からのコメントと報告者の応答の後、フロアを交えて質疑応答と活発な議論が行われた。これらを通じ、獣害の克服/受容という当初の枠組とは異なる対立軸や今後の研究課題が、おぼろげながら浮かび上がってきたように思う。

     本特集記事は、企画趣旨、研究会における2つの報告の要旨とコメント、質疑記録と論点から構成されている。企画趣旨は研究会当日の議論を踏まえ、後日加筆修正を施している。また、報告要旨はあえて短い紹介にとどめた。詳細な内容は別途公表されることを期待している。

     最後に、年の瀬の迫る時期にもかかわらず研究会にご参加くださった方々と、貴重な機会を提供くださり、研究会開催にご尽力くださった編集委員各位に、厚く御礼申し上げる。

  • 弘重 穣
    2024 年31 巻1 号 p. 18-20
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー
  • ― 福井県敦賀市池河内集落を事例に
    閻 美芳
    2024 年31 巻1 号 p. 20-21
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー
  • 竹本 太郎
    2024 年31 巻1 号 p. 21-23
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー
  • 桑原 考史
    2024 年31 巻1 号 p. 23-26
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー
特集II
農業集落調査の来し方行く末
  • 平井 太郎
    2024 年31 巻1 号 p. 27-32
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー

     2022年から2023年にかけて農業集落調査の廃止が社会的に問題化した。村落研究学会としてもいち早く2022年10月に学会として同調査の継続を求める声明を発出した。その声明で謳われるように、同調査の設計や運用に村落社会研究学会のメンバーが深く関与しただけでなく、今日でも調査結果を参照し活用するメンバーも少なくない。しかしながら、調査設計や運用に直接関わった福武直や川本彰といったメンバーが鬼籍に入ってすでに久しく、彼らがどのような意図で関与し、またその関与が調査のみならず食料・農業・農村政策とどういった相互作用を及ぼしていたのかが、村落研究学会内外で十分に共有されているとは必ずしも言えなくなっている。さらに、今回の農業集落調査廃止をめぐる政策過程において、政府有識者会議メンバーのようなかたちで政策当局者とコミュニケーションを深められる立場の会員も限られている。

     そこで本特集では大きく2つの方向性から、農業集落調査と村落社会研究との相互作用のあり方に接近したい。1つは、農業集落調査という官庁統計の設計や運用に関わることが村落研究そのものの生成と展開にどのような意味があったかを振り返る、村落社会研究の内側からの接近である。それにより、村落社会研究の問いのかたちを回顧し、その未来における可能性についても展望したい。もう1つは、村落社会研究にとってどちらかといえば外側に位置する政策科学から見た、今回の農業集落調査廃止問題が問題化した詳細な経緯、その政策の過去や未来における含意はいかなるものかを明らかにする接近のし方である。村落社会研究と政策との距離のとり方はたしかに難しい。だからと言って敬して遠ざけるのでなく、むしろ政策により近い立場の研究者からの知見に耳を傾けたい。

     なお本特集は村落社会研究ジャーナル編集委員会主催(2023年度東北地区研究会との合同開催)研究会として2024年3月28日に開催された研究会「農業集落調査の来し方行く末」の報告内容をふまえ、質疑応答で得られた内容を発展的に盛り込み改稿を加えたものである。

  • ―― 生活構造論からの批判的検討 ――
    松本 貴文
    2024 年31 巻1 号 p. 32-36
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー
  • 竹田 麻里
    2024 年31 巻1 号 p. 36-40
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー
  • 高山 太輔
    2024 年31 巻1 号 p. 40-45
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/20
    ジャーナル フリー
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