本稿は,地方中心都市におけるオフィス立地の変容を,
モータリゼーション
の進展と高速交通機関の整備に代表される交通環境の変化という点から考察するものである.調査地域として,
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が高度に浸透し,新幹線・高速道路といった高速交通機関の整備が進んだ前橋・高崎地域を対象にした.研究対象期間は,高速交通機関の整備が始まった1980年代初めから2000年代初めまでとし,オフィスの分布状況の変化とその要因を考察した.本研究の結果,以下の3点が明らかになった.(1)前橋・高崎地域においては,
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に伴う都市内交通環境の変化によって,オフィス立地の郊外化か進展していることが確認された.この傾向は,スペースコストの低減を志向する企業の立地戦略とも合致しており,今後も継続していくことが予想される.(2)都市内におけるオフィス立地は,その業種や機能によって,明確な空間的分化を示す傾向が確認された.すなわち,中心部に立地するオフィスは広域拠点機能に特化されつつあるのに対して,郊外には労働集約的な部門のオフィスが立地する傾向である.また,高速交通機関の配置が,中心部における広域拠点機能の集積に大きな影響を及ぼしているものと考えられる.(3)郊外におけるオフィス立地は,交通結節地となる幹線道路沿いに集まることが確認された.前橋・高崎地域の場合には,両市の中間に当たる地区にオフィスの緩やかな集積が生じており,郊外型業務地区を形成しつつある.
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