手賀沼の溶存無機化学成分濃度の変動を調べるため,沼の3地点および流入する三つの河ノ鐸において,1988年12月から1年間,毎月1回,表面水の採取を行った。試料を,炉過後,イオンクロマトグラフィー,イオン電極法,原子吸光分光光度法,誘導結合プラズマ発光分光光度法(ICP)を用いて,塩化物イオソ,硝酸イオソ,硫酸イオン,アンモニウムイオン,ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,ストロンチウム,リン,亜鉛,マンガソ,鉄,バナジウム,ケイ素,アルミニウム,ホウ氣バリウムの測定を行った。得られたデータについて, 主成分分析法などの統計的手段,沼へリフラヅクスの計算,降水量の影響などの検討を行った結果,手賀沼の溶存無機化学成分の特徴として次のようなことがわかった。1.ナトリウム,塩化物イオン,アンモニウムイオン,リンは大堀耀,大津川の濃度が手賀沼のものより高かった。アンモニウムィオンとリンは湖沼内での生物的除去が考えられる。2.カルシウム,ストロンチウム,マグネシウム,硫酸イオンなどは季節変動,採水地点間の変動ともに小さかった。3.湖沼水は年間を通して高いpHを示し,これが鉄,亜鉛,バナジウムなど微量成分の溶存状態に影響を与えていると考えられる。
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