抄録
本研究では,大学生を対象に,創作の過程や方法に触れる経験を与えることによって美術に対する認識を変え,同時に表現を促すことを試みた。具体的には,1)創作プロセスに焦点を当てた美術展示,2)自ら表現を行うワークショップの二つを体験させ,それぞれが学生にどのような影響を及ぼすかを質問紙調査によって検討した。その結果,創作プロセスを見せる展示は,美術に対する認識を変える上では有効なものであったが,表現を促すという効果は限定的であった。しかし,それに加えてワークショップを体験させることで,美術に対して苦手意識を持っていた学生も,創作や表現を身近にあるものとして位置づけるに至った。