2010 年 31 巻 p. 125-138
本論文ではまず,デザイン教育黎明期における「子どものデザイン」概念に関する筆者の歴史研究から,「子どものデザイン」は「子ども-社会-教育」という立体的・複合的・流動的な関係性の中にあり,不断に更新されていくものであることを確認している。そして,それらの変容と現代におけるデザインのあり様との結びつきを検討する諸論より演繹的に検討し,「子どものデザイン」をかたちづくっているものとして,<感覚>と<イメージ>の相を導き出している。さらにこれら二つの相によって構造化される創造的問題解決に教育的可能性を見出している。