2022 年 43 巻 p. 141-154
本研究にあっては,現代分析美学の裏付けのある概念を援用すると共に,108名に及ぶ一定量の調査対象を確保している点に,学術的な拠り所が求められる。 第一印象8類型を形づくる要因の特性が美的か,非美的かの違いは,美的能力の評価を確定する。かくて実践では,第一印象で「二つのリアル(野菜・果物らしさと人物らしさ)」「作品の全体的情趣」など美的なものを感受させること,授業全体において知覚のレベルを超えた,感性の次元で美的なものの把握に向かわせることが,肝要となる。 能力差は非美的な「(1)主役をめぐる概念的・知見的主題」,非美的な「(2)主役をめぐる情感連想的主題」,対して美的な「(3)主役をめぐる形容詞(美的賓辞)的主題」,の把握を決定づける。その状況は特徴的な各主題を捉える際の難易度を反映してもいる。