抄録
本稿では,グループ内の他者の視点,美術史の視点,美術作品の創作者の視点,対話型AIの視点という四種類の視点が,中学生の美術鑑賞における省察能力を育成する際に利用できることを提案し,また,各視点の理論的背景,及び実践上の現状と課題について検討した。最初の三種類の視点は,美術鑑賞能力の発達理論,及び芸術心理学の文献から集約された。本稿は,日本と中国における美術鑑賞教育の先行研究で提案されている,美術鑑賞における省察を指導する際にこの三種類の視点を利用した方法を整理し,今後の課題について検討した。次に,ChatGPTなどの対話型AI の,美術批評やキュレーションの場面での応用に注目し,対話型AI を応用した学校教育の文献を調査することにより,対話型AI が,美術鑑賞における省察を促す視点として利用できることを提案した。