抄録
本稿は,人間回復が目指された20世紀初頭のバウハウスにおける造形教育を手がかりとして,現代のSTEAM教育における「A」の役割を再検討するものである。まず,バウハウスにおける感性教育の位置づけに着目し,とりわけ予備課程におけるヨハネス・イッテンとゲルトルート・グルノウの教育理念と実践を整理することで,合理性や効率性が優先される社会においても感性教育が重視された意義を明らかにした。そのうえで,現代のSTEAM教育における「A」の在り方に関して問題を提起し,人間の感性の育成を基盤に据える視点から「A」の役割を再考する必要性を課題として指摘した。最終的には,STEAM教育における「A」の機能を再定義するための新たな構想案を提示することができた。