抄録
近年,日本でもSTEAM教育に関わり,小中高大学校のさまざまなレベルにおける取り組みが見られるようになってきた。そのような中で,美術教育に関わるSTEAM教育についての議論も活発なものとなっている。しかしなおそこには,美術教育そのものの解釈を含め,混乱が生じている。本稿は,STEAMにおけるAの解釈の多様性,従来の美術科教育が創造性育成に果たす役割,そしてSTEM教育の在り方を問い直す契機としての可能性を整理する。従来型の図画工作中心の美術教育では,創造性育成や学際的思考の涵養は十分に担保されず,教授法や学習環境の工夫が不可欠である。また,Aは単なる創造力の増幅だけでなく,科学技術の暴走を抑制し倫理的判断を育む役割も期待される。本稿は,これらの観点から,日本の美術教育がSTEAM教育に果たすべき役割を再考する。