抄録
本論は,美術の授業中と授業後の高校生による省察を比較分析し,省察の質的変化と省察を促す学習環境について考察する。「学びの扇」を活用したアンケートを使用し,他者からの情報を基にした活動の割合と自分の判断による活動の割合を自己評価させた。さらに,生徒の授業中の活動を撮影しビデオリフレクションを行った。省察を相互行為分析や記述分析した結果,次の3 点が明らかになった。①ビデオリフレクションを通して省察する視座や評価の観点が友達と共有され,独自の意味づけがなされること,②省察を繰り返すことで,生徒が理想の学びの状況をイメージすることが促されること,③一人称的な省察と自分を客観視する省察とのギャップにより,学びに対する自覚や発見が生じることである。また,省察の多様な視点
を促す教員の重要性も示唆された。