日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
会議情報

[2Bp] フレーバー物質,色素
「山幸」を用いた北海道ワインの香気成分による特徴
*南 典子田辺 由美阿部 眞久櫻井 昌文樺島 文恵田島 大敬高橋 克幸中川 理山口 昭弘曾根 輝雄
著者情報
キーワード: 香気成分
会議録・要旨集 フリー

p. 42-

詳細
抄録

【目的】北海道で栽培,醸造されているワイン用ぶどう品種「山幸」を特徴づける香気成分と香りの関連性を明らかにするとともに,山幸によるワインオフフレーバーに対するマスキング効果について解明する事を目的とした。

【方法】分析方法としては,北海道産ワインサンプル(ピノ・ノワール,ツヴァイゲルト,山幸)について,GC-TOFMSを用いて,「山幸」を特徴づける香気成分と官能検査におる香りの特徴について調査した.また,「フェノレ系」と呼ばれるオフフレーバー成分である4-ethylguaiacol,4-ethylphenolの標準液を調製してワインサンプルに添加して,官能検査によるマスキング効果試験を行った。

【結果】GC-TOFMSから測定されたサンプル間で有意差の大きい化合物と官能検査の結果を用いて主成分分析を行い,他の品種と比較して「山幸」に特徴的な香気成分及び香りについて検証した,その結果,山幸にはGeraniol,Linalool ethyl ether,Linalool oxide,Bois de Rose oxide,Vitispirane,2-Hexen-1-ol,4-ethylguaiacol,4-ethylphenolが有意に多く存在しており,標準品を用いて定量を行ったところ,ワインオフフレーバーである4-ethylguaiacol,4-ethylphenolが他のワインより多く含まれていた一方,有識者による官能検査でその香りを感じられなかった.そこで,改めてこの2成分をワインサンプルに添加して官能評価によるマスキング効果試験を行った。ピノ・ノワール及びツヴァイゲルトではオフフレーバーが強く感じられたが,山幸では低かったことから,山幸にはフェノレ系の香りをマスキングする効果がある可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2024 公益社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top