日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[2Cp] 食品分析
NMRによる茶の実オイルの成分分析
*二村 有美徐 煒鋒松本 あみ細谷 孝博加藤 悦子
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p. 53-

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抄録

【目的】

 現在,日本における茶農家は,高齢化や後継者不足による休耕茶園の増加など深刻な問題を抱えている.これらの解決策のひとつとして,茶製品の普及が有効であると考えられる.茶の副産物である茶の実からは,良質なオイルが得られる(以後茶の実オイル).茶の実オイルの効能を明らかにし,付加価値を向上させることは,茶農家の抱える問題を緩和できる可能性がある.茶の実オイルは,オレイン酸やビタミン類を多く含み,健康への様々な効果が報告されているが,その科学的根拠は未だ解明されていない.本研究では,NMRを中心とした茶の実オイルの成分解析と生理活性効果の解明を目指している.

【方法】

 茶の実オイルを含む57種類の植物オイルについて1H NMR測定を行い,得られたシグナル強度から脂肪酸組成を解析した.また各スペクトルについてPCA解析を行った.比較のために,茶の実オイルを含む8種類の植物オイルをそれぞれKOH/メタノールと反応させ脂肪酸をメチル化し,ヘキサンで抽出したものをGCによる脂肪酸組成解析を行った.

【結果】

 57種類の植物オイルについて,1H NMRスペクトルの解析結果から脂肪酸組成を決定した.この結果は,一般的な脂肪酸組成分析法であるGC法による結果と良く一致していた.日本産の茶の実オイルは,中国産に比べリノール酸含有量が高く,オレイン酸含有量が低いことなど脂肪酸組成に違いが見られ,産地により組成が異なることが示唆された.他の食用オイルとの比較から,中国産は,オリーブオイルなどの一般的な植物オイルの脂肪酸組成と類似していたが,日本産の茶の実オイルは他の植物オイルとは異なる特徴的な組成を持つことが分かった.また,NMRの測定データをPCA解析することにより,産地の特定ができる可能性が示された.現在,茶の実オイルの生理活性効果について検討中であり,この結果についても報告する予定である.

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© 2024 公益社団法人 日本食品科学工学会
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