抄録
日本モンキーセンターのクロミミマーモセットのペア 2 組を対象に、雌雄間の近接と性行動の関係を明らかにするため本調査を行った。調査期間と総観察時間は、オサゲ・カカオ(以下オ・カ)は2023年4月30 日~2024年4月21日で36時間16分、ベル・ショコラ(以下ベ・シ)は2024年4月21日〜5月3日で6時間 57 分であった。1 分毎瞬間記録法で、雌雄間の近接(1m・0.5m・接触)・活動(性行動を含む)・場所を記録した。性行動は、オスがメスの体を噛む・体を寄せ合う・メスがオスに覆いかぶさる・オスがメスに覆いかぶさる・交尾の 5 種類とし、各項目について観察日ごとの頻度を算出した。1m以内の近接(接触を除く)と接触の頻度の平均は、オ・カは8.9±7.9%(標準偏差:SD)と9.4±6.2%で、ベ・シは23.7±1.8%と23.8±7.6%であった。性行動の頻度の平均は、オ・カは2.3±2.2%で、ベ・シは1.9±1.9%であった。性行動の種類は、オ・カは5種類とも見られたが、ベ・シは「オスがメスをかむ」と「体を寄せ合う」のみであった。オ・カの接触頻度は、新生児(発見時に既に死亡)の出産前後で大きく変化した。つまり、出産前(4/30~5/13)は平均2.6±0.1%であったが、出産後(5/27~9/3)は8.8±0.7%であった。しかし、11月25日には 2.3%に低下した。その日以降(2023/11/25~2024/4/21)は平均15.0±10.7%で変動が大きかった。接触頻度が最大値の28.9%となった2024年4月13日には、交尾が1度見られた(交尾が見られたのは全観察期間中このときのみ)。一方、ベ・シは出産はない。ベ・シでは接触と近接の頻度が高くても、性行動は少ないとわかった。以上の結果より、ペアによって近接・接触行動を行う要因が異なることが示唆された。