主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】ミソハギ (Lythrum anceps) は野山の水辺や湿地に自生する多年草であり, 国内では本州, 四国, 九州に分布している. ミソハギには食経験があり, 乾燥物は下痢止め, 急性腸炎などに対する民間薬として利用されてきたが, 有効成分や生理活性メカニズムは未解明である. 本研究では, 2色のルシフェラーゼが安定発現する発光細胞株を作成し, リアルタイムレポーターアッセイにより, ミソハギの 80% メタノール抽出物の有効性を評価した. インスリン抵抗性や抗炎症作用の改善に効果的なターゲットであるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ (PPARγ) の活性化が確認されたため, その活性成分を同定した.
【方法】ミソハギ地上部の乾燥物を 80% メタノールで抽出し, 目的の抽出物を得た. 得られた抽出物の有効性を評価するため, 特に PPARγ を指標とした2色のルシフェラーゼを安定発現する発光細胞を, 人工染色体ベクター (MI-MACベクター) を保持するマウス線維芽細胞 A9 を用いて作成した. PPARγ の活性化剤として報告されているピオグリタゾンを使用し, 作成した発光細胞の反応性を確認した. ミソハギの 80% メタノール抽出物に対し, 構築した PPARγ のアッセイ系を含め, その有効性を評価した. ミソハギの 80 % メタノール抽出物から, PPARγ 活性化成分を天然有機化学的な手法により同定した.
【結果】構築したアッセイ系により, ピオグリタゾンの EC50 を算出したところ, 98 nM であった. 算出した EC50 に基づき, 既に報告されているレポーターアッセイ系と比較すると, 構築したアッセイ系は PPARγ の活性化の評価に十分な反応性を有していることが明らかとなった. ミソハギの 80 % メタノール抽出物から, PPARγ 活性化成分としてエラグ酸を同定した. エラグ酸の含有量が高いと報告されているイチゴやナッツと比較して, ミソハギのエラグ酸の含有量は4~10倍高かった. エラグ酸を有効成分とした機能性表示食品も多く存在することから, 今後ミソハギの有効利用が期待される.